洞源院寺報なむ

第40号(令和4年1月1日発行)

修正会(しゅしょうえ)

住職 小野﨑秀通

今年は、壬寅(みずのえとら)と改歳されました。

壬は、ゆったりと曲がりながら流れる大河の水を表し、寅は、決断力と才知を意味し、安定しておおらかという特徴を持つ干支だとされます。落ち着いて安定的な決断ができる年と解釈することが出来ましょう。

 毎年の干支を無事に乗り越えて行く大切な仏教行事があります。それが修正会です。

これは、修正月会の略です。大晦日の夜には、一〇八回撞かれる除夜の鐘で煩悩を取り除いてから、穢れのない状態で新年を迎え、新しい年の「天下安泰、五穀豊穣、万民豊楽」を祈願することを修正会といいます。

「一年の計は元旦にあり」と申しますが、年の初めに、今年はこうしたい、これを実現したい、これを頑張りたい等と計画を立て叶えられるようにとスタートします。そして一年を過ごす十二月晦日を迎え一年を総括してみると、あれが出来なかった、途中で目的がそれてしまった、悪い目に遭ってしまった等と出来なかったことを反省し、出来たことはさらに躍進出来るようにと願います。

日本では、奈良時代の称徳天皇代の正月に諸国の国分寺に勅して、吉祥天を祀らしめ、その宝前に吉祥式を修して「天下太平、五穀豊穣」を祈念せられたのが始まりとされます。

以来、東大寺、法隆寺、薬師寺等多くの寺院に広がり、各宗派でそれぞれに発展させ今日に至っています。因みにこうした修正会に伴い、猿楽などの雑芸が行われるようになり、雅楽、能楽などの芸術が生まれるようにもなりました。

修正会は奈良時代には元々仏前に過去の罪過の懺悔(さんげ=反省)する悔過会(けかえ)という式が行われていました。一年間の自分が起した過ちを懺悔することで罪が軽くなると考えられていました。こうしたことから、前年の反省をしての豊かな暮らしが出来ますようにと祈願されてきました。

洞源院でも、大晦日、一年の間に亡くなった新亡精霊の位牌、年回供養塔婆、旧お札等のお焚き上げ供養をしながら、一年間の心の汚れ、一〇八煩悩を祓う除夜の鐘を撞いてもらいます。

改歳0時を過ぎると太鼓の拍子に合わせて新年の初祈祷が始まります。それから正月三が日の三朝祈祷が修行されます。さらに、正月十八日初観音の縁日には、大般若祈祷会を修行することも洞源院の修正会といえます。

お詣りして新たな気持ちで今年も佳い年を過ごしましょう。

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大般若祈祷会のご案内

一月十八日(火)
・獅子舞 十時~十時半
・祈祷法要 十一時~十二時

開創九百六十一年を迎えたご本尊観世音菩薩の初縁日に、守り本尊と八大竜王神をご開帳し、ご祈祷がなされます。

家内安全・病魔退散・闘病平癒
身体壮健・子孫長久・家業成就
家門繁栄・除厄招福・商売繁盛
工事安全・交通安全・海上安全
合格祈願・学業成就・良縁結成
無事息災・海産豊穣・家庭円満
安産祈願・福寿長寿・心願成就

ご希望の願意を選び、白色の申込書に記入し、受付にご提出ください。
お檀家以外の方でも受付けていますので、ご遠慮なくお申込み頂き、お誘いの上お参り下さい。

※新型コロナウイルス禍のため、設斉(食事)のご接待が出来なくなりましたのでご了承ください。

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みちのく巡礼の旅

阿部 とく子

コロナ感染症が落ち着き始めた十一月四日、第四回のみちのく巡礼に参加させていただきました。 今回初めの巡礼先は、松島の富山観音・大仰寺です。このお寺には、バスで行くことが出来ないということで、二十人の参加者は、四台の乗用車に分乗して出発です。

松島の少し手前の県道から山道に入りました。テレビで放映されている「ポツンと一軒家」のような車一台しか通れない道を登り始めました。その道々、左右の杉林の管理の行き届いていることに驚かされると共に、清々しい気持ちになりました。走ること二キロ程で到着。又びっくり、眼下に松島の島々が一望できる素晴らしい由緒のあるお寺でした。

次に石巻に戻り、山下の禅昌寺、牧山の梅渓寺、共に素晴らしいお寺でした。桃の浦の洞仙寺、この寺は、先の津波で全壊し、洞源院の住職の声がけがきっかけで、全国五千人もの方々の寄進で再建されたそうです。

帰り際、奥様に声を掛けました。実は三十年程前に、小竹の婦人部で「銭太鼓」の指導をお願いした方なのです。思わず手を握り合いました。

最後に女川町の照源寺。見上げる程の龍頭観世音菩薩、圧巻でした。普段は御開帳されていませんが巡礼の旅という事で特別の計らいで拝観できました。

近年は、お通夜も葬儀も葬祭会館で執り行うことが多くなり菩提寺の名前は聞くけれど、足を運ぶ事が少なくなりました。

『このお寺にはあの人が眠っているのだな~、このお寺はあの人の菩提寺なのね』と思いながら手を合わせてきました。

私は、住職様の運転する車に乗せて頂き、二度とない身に余ることです。道中、私の頭にないことを種々聞かせて頂きました。私も尋ねたいことがあったので教えて頂き解決しました。

小春日和に恵まれた良い旅でした。拝観を受け入れて下さり有難いお話を聞かせて下さった各ご寺院、運転して頂いた方々に心よりお礼申し上げます。

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支え続けて二十九回 ちえぶくろの会寺子屋寄席

松澤 俊男

万石橋を渡って、右に次々と行く車を見て、ご同様、皆さん落語だなと、連れと笑っていた。

早く着いてテントの受付に行くと、係の人が「マスクどうぞ」と差し出して下さった。あわてて、ポケットのマスクをつけて連絡先を記入。玄関では下足入れの袋を貰ったのだが、九十二歳のズンツァンの指は思うように袋が開けられない。見かねたか「私が開けましょうか」と係の方の親切。早々とお二人の方の温かい言葉に、小寒い空気も気にならなくなった。

夢花師匠のお話も、期待に背かず、親子の死後のまとめも面白く、ヒントを出して、会場の心を一つにまとめ、考えさせて、魚の名に落としていくさわりなどの話芸は、見事としか言い様がなかった。ただ、話しの中で、正座の師匠が、何回も後ろに倒れたり、水泳の飛び込みのような動きを見せられて、びっくり。日頃鍛えているんだろうなと納得。

話しが終わり、恒例の抽選会が済んで、図らずも、私が参加者の中の最高齢ということで、前に出て、師匠から直筆の色紙と会からの景品をいただいた。

私から師匠に「水泳部でしたか?」とお尋ねすると「あなたの『跳べ!』という声は分かりましたよ。三年後はオリンピックです」という当意即妙の答えが返ってきた。

師匠に「長寿の秘訣は何ですか?」と問われ「落語を聞くことです」と答えた私の言葉に師匠が見せた笑顔は心に残った。

朱書きで「祝長寿」と書かれた色紙には「人の心は見えないけれども、人の心づかいは見える。人の思いは解らないけど、思いやりは解る」と書かれていました。

夢花師匠、ちえぶくろの会の皆さま、洞源院の皆さまに、心からの感謝を捧げたい。

帰りにいただいた甘酒と土産のカリンは、お寺の心づくしだろう。

幸せな一日になりました。

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笑って一日

安田 大也

あけましておめでとうございます。

新年号が、なむ第四十号というきりが良いところと重なったので、ここを潮時と思い改名(戒名ではありません)して雑文を載せてもらいました。

安田大也、あんだだいや?と読んでください。年齢は途中から数えるのをやめました。

「泣いて一日、悩んで一日、怒って一日、どうせおんなじ一日ならば、思いっきり笑って一日」を信条としています。

なのに、笑顔が苦手なんです。
そもそも仏頂面(ぶっちょうづら)だから、変に笑顔を作ると引きつったような顔になる。
この仏頂面って何ですかね。
辞書には「無愛想な顔つき、不機嫌に膨れた顔つき」とありますが、よくよく調べてみたら、お仏様の頭の天辺に、マゲの様に肉が盛り上がった所を「仏頂」といい、そのお仏様の頭の上に宿る最勝最尊の智慧を仏様化したのを仏頂尊と呼ぶそうです。

仏頂面は、仏頂尊の恐ろしい顔に例えられたものとされますが、仏頂尊のほとんどは如来様なので、恐ろしい顔はほとんどないそうです。

日常生活で、考え事をしていて無愛想な顔になってしまうのは仕方のないこと。とはいえ、一所懸命な時と、不機嫌な時とが見分けがつかないのも、これまた困ったもの……

それを払拭する為に実践しているのが「日常の行動改革!」

  1. 出会った人には、知っている人だろうが何者だろうが、自分から挨拶すること。散歩の時などに、すれ違う人に「おはようございます!こんにちは!」
    この一言に相手も返してくれます。先手必勝がコツです。
  2. 感謝の気持ちを言葉にすること。些細なことでも「ありがとう」これだけでも良いのですがひと言つけ加えています。
    「忙しいのにありがとう」「ありがとう助かりました」
  3. そして「お先にどうぞ!」 玄関に入るときやエレベーターで心掛けています。なぜ? 最初に行くと危ないから。という軽い気持ちでやると苦にもならずできるものです。

新年早々、くだらない話を書きましたが「笑う門には福来たる」と申します。今年こそ良いことが一つ二つありますように、努めて明るく、さわやかな笑みとほんの少しの優しさで過ごしていこうではありませんか。

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暮らしの中の仏教語 五色(ごしき)

村崎 四季折々

施餓鬼幡(せがきばた)や吹き流しなどの五色、青黄赤白黒(せいおうしゃくびゃくこく)は、仏教の基本的な色だそうです。

仏教では五色を五仏にあてはめ、青は東の「阿閦(あしゅく)如来」、黄は南の「宝勝如来」赤は西の「阿弥陀如来」、白は中央の「大日如来」、黒は北の「釈迦如来」を表すそうです。

青は空・海、黄色は大地の色、赤は、火や血液などエネルギーを運ぶもので「大切」「危険」を呼びかけてくれるもの。その三原色に白と黒を加えて、白は「昼の太陽」、黒は「夜の月」と、五色は、天地宇宙の真理を表しているそうです。昼は白い「大日如来」に、夜は黒い「釈迦如来」に導かれ、青黄赤の信号機のように「阿閦如来」「宝勝如来」「阿弥陀如来」が信号(進むべき先)を出して私たちの人生を、お守りして頂いている五色・五仏を大切にしていきたいものです。

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新年を迎えて

編集長 米谷 行弘

「寅」は古来、千里を行き千里 無事帰るという勇猛さを示すと言われています。寅年生まれの人の特長はチャレンジ精神が強く、何事も強い信念と自信をもって挑んでいく傾向があり行動力に加えて社交的な面を持ち合わせリーダーに適しています。

さて、ワクチン効果で十一月頃まではコロナの感染者もかなり減少しましたが、十二月頃から少しずつ増え一月半ば頃をピークとした波があり、これが「第六波」と予測されています。

個人的事情もあると思いますが、低年齢層を含めてもっと多くの人にワクチン接種を受けて頂きたいものです。

ヨーロッパを主に依然として増加の由。世界的に人の往来が多くなるにつれ、なお一層空港、港湾で厳重な検査をして頂き、ウイルスの潜入を阻止し、一日も早く終息して平穏無事な年を送りたいと願っています。

これからもマスクの着用と手指の消毒は基本です。

「なむ」は、第四十号発刊に至りました。これも偏に皆様方のご協力の賜物と心よりお礼申し上げ、これからも宜しくお願い致します。

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活動報告(8月~12月)

  • 清掃奉仕 8月1日
  • 山門施餓鬼会 8月8日
  • お盆供養 8月13~15日
  • 保育園児お泊まり会 8月19・20日
  • 永代供養愛々動物供養 9月23日
  • ちえぶくろの会寺子屋寄席 10月16日
  • みちのく巡礼 11月4日
  • 園児焼き芋大会11月18日
  • 清掃奉仕・成道会 12月5日
  • 園児成道会 12月8日
  • 護持会役員会 12月18日
  • 講演会「支倉常長の旅」 12月19日
  • お焚き上げ・除夜の鐘12月31日
  • 写経会 8月1日・9月5日・10月3日・11月7日

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行事予定(1月~4月)

  • 三朝祈祷 元旦(土)~3日(月)
  • 大般若祈祷会 1月18日(火)10時~
  • お涅槃会 2月13日(日)13時半~
  • 東日本大震災合同慰霊供養 3月11日(金)14時~
  • 春彼岸供養
    3月18日(金) 9時・11時・13時
    3月19日(土)~21日(月) 9時・11時
  • 永代供養・愛々動物供養 3月21日(月)13時半
  • 花まつり 4月24日(日)13時半

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第二十九回 寺子屋寄席 ちえぶくろの会


今年は、三笑亭夢花師匠をお招きし、百二十人の参加のなかで開催されました。

夢花師匠の出演は六年ぶり。前後、左右に飛ぶやら、後ろに反るやらと、舞台の上で全身を使った珍しい落語の形態で参加者を喜ばせ楽しませて頂きました。

一席目は「松山鏡」
地頭が親の墓参りを欠かさず、「とっつあまに、一目会いたい」という男に鏡を贈る。
お百姓が鏡を見たことのない時代、鏡に写った自分を親父と思い込み納屋で、毎日野良仕事に行く前に鏡を見ていく夫をいぶかり、納屋にあった鏡を見つけた女房が自分の顔を見て、浮気していると勘違い大喧嘩に。そこを通りかかった尼さんが鏡を覗き込むに「反省して、尼になった」という噺。
二席目は「やかん」
何でも知ったかぶりをして難癖をつける隠居をへこませようと、物の名前の由来を次々と聞くが、隠居はこじ付けて煙に巻く。鰯は、岩にシーするから、鯨は九時に起きるからと。やかんは?と尋ねると「敵の矢がカーンと当たった為じゃ」と「蓋は面の代わり、やかんの口は、敵の音を聞く耳代わり「ない方は枕を付けて寝る方じゃ」と。
最後の噺「片棒」
最後の噺は、ケチな親父が三人の息子たちに自分の弔い方を聞き出す。長男、次男は金をかけ盛大に見送るとするが、三男は勿体ないと、棺桶は漬物樽にして、一方は自分が担ぐが、もう一方は担ぐのに雇う金がかかるというと、ケチな親父が「俺が担ごう、死んでる場合じゃない」との落ち。

落語は楽しい!次回は、三十周年。楽しい寺子屋寄席を準備したいと思います。

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悼む

佐々木 力殿(享年八十七歳)
洞源院護持会会長・責任役員
元少年研修館保護者会会長
ちえぶくろの会初代会長
阿部 文夫殿(享年七十六歳)
祝田一区担当

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