洞源院寺報なむ

第33号(令和元年8月1日発行)

人生に『修証義』をその8

住職 小野﨑秀通

二者愛語(二つには愛語)

今回は親愛の心を起させる言語、愛語について記します。 愛語を語る者の心は、すべてのものに執着しない心、清浄無垢な心をもって、物事を認識して語りかける事だとされます。そして愛語を発するためには、まず慈愛の心をおこす、すなわち、人々を安心させ喜ばせ楽しませる気持ちをもつことが必要であるということです。それは、ちょうど赤子を慈しみ愛するのと同じように人々のことを想い念じながら言葉を発することです。愛語は常日頃、自分の生き方を正した謙虚な態度の中で、細心の心配りをする言葉であり、大変難しいことに思えますが、日常の挨拶を大切にすることを心がけることから愛語が生じます。たとえば「自重自愛を祈る」言葉として「お大事に」「ご機嫌いかがですか」などと相手へのいたわりの感情から発する言葉も愛語となります。

愛語を実行している内に、日頃自分でも気づかなかった愛語も現れてくるようになるといいます。

たとえ、残忍非道な者でも改心させたり、相争う者同士でも和睦させたりすることも、愛語を根本においた時に初めて可能となることです。愛語を聞けば、顔もほころび、心もうれしくなり、心の奥底まで響き渡るようになる。愛語は愛する心から起こることであり、更にはこの愛する心は慈悲心を種子として実ることを知らなければなりません。

いずれにせよ、自分の生き方を正す中に発する言葉ですので、決して粗暴粗悪な言葉、荒っぽい言葉を使ってはなりませんと戒められています。

愛語は幸せを呼ぶ魔法の言葉です。

さて、今から二百年程前、庶民に慕われ多くの逸話で知られている良寛さんですが、実は道元禅師をこよなく愛し、その教えに生きた人です。道元禅師の『正法眼蔵』を通読し、その中の「愛語」を書写したものが伝えられています。その愛語にしたがった「自戒の言葉」の中で一つ、ことばの多き。一つ、口のはやき。一つ、さしで口。などと九十箇条が示されています。

良寛さんの逸話のほとんどは、愛語そのものと言えますが、甥に対する無言の愛語は有名です。良寛さんの生家・橘屋は甥の馬之助の代になり、庄屋を保持していましたが、放蕩に身を持ちくずし、評判を落としていました。馬之助の母は、良寛さんに意見をしてもらうように頼みました。良寛さんは生家に入って馬之助に会いますが、意見を言うこともなくそのまま三晩も泊まり、名残惜しそうにいとまを告げ、 草鞋を履きかけ、馬之助を呼んで「この紐を結んでおくれ」と頼みます。馬之助は何か説教されるのかと思いながらも、素直に紐を結びにかかりました。すると襟元に、冷たいものがポタリと落ちました。馬之助がびっくりして見上げると、良寛さんの頬には涙が伝わっていました。良寛さんは無言のままでしたが、馬之助は感動し、心を改めることを誓ったというのです。愛語は愛心より起こるお話です。

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山門大施餓鬼会のご案内

八月八日(木)
十時三十分~ 設斉(食事供養)
十一時~ 朗読と演奏 「怪談・耳なし芳一」
元NHKアナウンサー 軽井沢朗読館館長 青木 裕子氏
サックス奏者 ミジンコ研究家 坂田 明氏
十二時三十分~ 大施餓鬼法要

※お施餓鬼申込用紙(白色)にご記入の上ご持参ください

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お盆供養のご案内

八月十三日(火)
午前の部 七時・九時・十一時
午後の部 一時
八月十四日(水)・十五日(木)
午前の部 七時・九時・十一時

※お盆供養申込用紙(緑色)にご記入の上ご持参ください。

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お盆幡(五如来さま)

盆はうれしや 別れた人も
はれて此の世に 会いに来る

ご先祖様は、遠いところからはるばる戻ってこられます。そのご先祖様が喜んでくださるよう家族みんなで楽しく心暖かいお盆となるよう努めましょう。そのためにも今年からお盆の前にお施餓鬼供養をお勤めし、有縁無縁の御霊に多くの功徳を施し、ご先祖様に巡らす回向の経木塔婆と五如来さまのお盆幡をお受けしてお迎えいただきたいと存じます。

五如来さまの幡は五大色で、中央に広博身と呼ばれる大日如来が祀られ、その東西南北に妙色身の阿閦如来、多宝如来、甘露王の阿弥陀如来、離怖畏の釈迦如来と配置されています。また、五色の順も青黄赤白緑(黒)となり、地水火風空の五大の宇宙の存在を色で表して、それぞれに守護されているものです。

五如来さまは、より安らかに極楽浄土の蓮の台の光の世界に上がれるようお導き下さる尊い仏様です。

お盆を説かれるお経に、五如来さまをお招きし、そのお徳を称え、先祖の冥福を祈ってその恩に感謝し、罪障を懺悔するよう説かれています。お施餓鬼供養ではこうした意味のお経を唱え供養されますので、どなた様も参列してお盆幡をお受けくださるようお願いいたします。

受けられたお盆幡はお仏壇の上部に、「盂蘭盆会為當家先亡累代精霊供養之辰」(ご先祖の幡)を中ほどに、五如来幡を順に掲げ(写真参照)、如来さまの功徳がご家族皆様へ行きとどきますよう願っております。

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経木塔婆(きょうぎとうば)

「塔を建てて供養するところ、これ仏の道場なり」と。

今年から、お盆を前にお施餓鬼供養が行われますので、三十センチ程の短い経木塔婆を供養してお配りすることと致しました。受けられた方は、初めお仏壇にお祀りし、お墓参りをするときに石碑の前にお祀りください。お仏壇に立てかければ、そこが仏の道場となり、お墓に立てかければ、お墓が仏の道場となって、仏の功徳をいただいて、寂静安穏の場にしていただけます。

塔婆は元々仏舎利塔のことですから、仏つねにいますという世界です。

その塔婆の功徳には、地獄、餓鬼、畜生という六道輪廻の三悪道の苦しみから解き放たれ寂静安楽の世界に導いて下さるとされています。

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読者の広場

「来た道・行く道」 斧 琴 菊

子供叱るな来た道じゃもの
年寄り笑うな行く道じゃもの
来た道 行く道 二人旅 
これから通る今日の道
通り直しのできぬ道

故・永六輔さんが、愛知県犬山市で見かけた言葉に感銘し、後に著書「大往生」の中で紹介し、話題になった作者不詳の言葉です。

働きながら子育てに奮闘されている若いお父さんやお母さん方がいらっしゃると思います。

夜泣きがひどくて安眠できず疲れが取れず、イライラが募りつい、大声で叱かったり、夫婦間で当たり散らし喧嘩に発展したり、或いは、ちょっと悪戯好きな子供に手を焼き、ヒステリックになって、毎日イライラしている。いわゆる育児ノイローゼになる人も少なくないと聞きます。

でも、そういう悩みを抱えているあなたは赤ちゃんの時、子供の時、本当に手の掛からない良い子だったでしょうか?もしかすると、ご自身も親の手を焼かせて育ったかも。「あまり、きつく叱るな、お前もそうだったじゃないか」とご両親がハラハラして見ているかもしれません。

お子さんは、わざと夜泣きをしている訳でもなく、親を困らせようとして悪戯しているのではないでしょう。ちょっとの期間の、いうなれば成長期の一時的な通過点なのではないでしょうか。
声を荒立てたくなったら、一呼吸おいて、我慢してみて……
高齢者と一緒に暮らしている方々にも、他人には計り知れないご苦労があるでしょう。
すぐ物忘れをするし、もたもたする動作にイライラ…
「ああはなりたくないなぁ。情けない」と思うかもしれませんが、いずれ自分の行く先、確実に行く道なのです。

人生を長く歩んできた分、いろいろな情報が多く、想い出が多いのは当然のこと。古い事と新しい事が、ごちゃ混ぜになった頭の中から、一つ取り出すのも大変な作業なのでしょう。また、身体もそれこそ、油が切れて関節もスムーズに動かなくなるのも当然のことでしょう。

自分が、その歳になったときに、他人に迷惑を掛けずに話したり、動いたりする自信はありますか?今、自信があっても保障はできないでしょう。
焦らず、ゆっくり落ち着いてお相手をしてやってください。
「二人旅」とは、何も人間だけではありません。巡礼の「同行二人」と言われるようにご本尊様が常に共にあるということ、人生を旅と考え、いつも照らしてくれているお天道様も一緒と考えても良いのでしょう。

決して後戻りできない道、通り直しのできない道、折角もらった今日の命を、若い人は若い人なりに、お年寄りはお年寄りなりに、お互いを理解しながら明るく過ごして往きましょうよ。

みちのく巡礼の旅 阿部とく子

六月十八日梅雨の時期にも関わらず、寒くもなく暑くもなくとても良い天気に恵まれました。 本堂前に全員整列し、三宝御和讃・般若心経をお唱えしました。 いつもの旅は興奮ぎみでバスのステップを歩むのですが、今日は少々緊張しての乗車でした。 三陸道を一路気仙沼へ。

第一札所松岩寺、本堂で三宝御和讃・般若心経・追善供養御和讃を全員でお唱えしました。松岩寺の住職様より震災当時の状況等のお話を伺い、寺を案内していただきました。

第二札所地福寺(私達の供養は全寺同じです。)地福寺さんは十八メートルの津波にのまれ墓地と自宅が全壊したとのことで復興の最中にも関わらず、美味しいおまんじゅうとお茶の接待を受け、その時「めげない・にげない・あきらめない」の精神を教えていただきました。

第三札所清凉院、震災の被害はそれほどでもなく、地域の方々の避難所として三ヶ月もお世話をしたことなどありがたい説法を伺いました。

第四札所南三陸町の徳性寺、津波で本堂が全壊し、現在もプレハブを本堂として供養しているとのことでした。

ホテル観洋で美味しい昼食をいただきました。

第五札所登米の大徳寺、このお寺には八百年以上の歴史ある日本三大不動尊の横山不動尊が祀られてありました。年に三回お祭りがあるそうです。近くですのでぜひお参りに行って見てはいかがでしょうか。住職様のありがたい説法・お茶・お菓子の接待を受けました。

第六札所登米の福田寺、ここの寺の住職様は当院の住職と大学の同級生とのことでした。内陸部にあるこの寺は被災地へ行くボランティアの人達の宿泊所として支援したそうです。その時のボランティアの一人の方と寺の娘さんが結婚し、福田寺の後継者になるとのことでした。ちょうど訪問した日には永平寺・總持寺の本山で瑞世という大事な式をお勤めするため留守でお会いできませんでした。なんとも微笑ましい話を聞かせていただき今回の巡礼の旅は終わりです。

「めげない・にげない・あきらめない」の精神で気仙沼・南三陸ガンバレとエールを送ります。ありがとうございました。

みちのく巡礼の旅は県内ですので皆様もぜひ参加してはいかがでしょうか。

今回は二月に九十八歳で母を見送ったこともあり、夫と二人で参加させていただきました。

令和元年が私にとって新たな供養の始まりになりました。

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活動報告(5月~7月)

  • 園児花まつり 5月8日
  • GGの森園児シャクナゲ見学会 5月14日
  • 十三教区総会 5月17日
  • 東北大学留学生研修会 5月18日
  • 護持会会計監査 護持会役員総会 5月19日
  • 渡波駅花壇植栽 保育園児参加 5月20日
  • 写経会 6月2日
  • 十三教区護持会総会 6月4日
  • 護持会研修みちのく巡礼 6月18日
  • 石巻グリーングローブの会総会 6月22日
  • 本山特派布教 谷川洞福寺 6月27日
  • ちえぶくろの会総会 6月28日
  • 御詠歌稽古 7月3日・8日
  • 十三教区主催こども坐禅会 1泊2日洞源院会場  7月22日~23日

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行事予定(5月~8月)

  • 清掃奉仕 洞源院内外清掃 多くの参加を願います。 8月4日(日)8時半~
  • 山門施餓鬼会 今年から開催日変更 8月8日(木)10時~
  • お盆供養 8月13日(火)~15日(木)
  • 保育園児お泊り会 8月24日(土)~25日(日)
  • 写経会 9月1日(日)13時半~
  • 敬老の集い 9月21日(土)10時~
  • 永代供養・愛愛動物供養 9月23日(月・中日)13時半~
  • 写経会 10月6日(日)13時半~
  • 寺子屋寄席 10月19日(土)14時~
  • 防災訓練 11月3日(日)9時
  • 写経会 11月3日(日)13時半~
  • 清掃奉仕 12月8日(日)8時半~
  • 成道会 12月8日(日)13時半~
  • お焚上げ・除夜の鐘 12月31日22時~

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新役員紹介


鈴木春雄氏
担当地区 水明町

鈴木勝氏
担当地区 小竹

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第二十七回寺子屋寄席


桂文治師匠独演会
10月19日(土曜日)14時開場 木戸銭1000円

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墓地について

墓地は先祖様の寝堂依り代です。月に一度、お参りし、清潔美化に努めましょう。
数年間墓地へのお参りがなく、寺からの連絡が途絶えている檀信徒がおられます。
ご存じの方はお知らせ下さい。墓地の整理をしていきます。

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編集後記

曹洞宗宮城県宗務所第十三教区主催の特派布教が、令和元年六月二十七日牡鹿半島の谷川浜にある緑豊かな洞福寺で開催されました。

特派布教師は、宮崎県徳泉寺の澤英俊住職です。洞源院からは十九名が参加致しました。

洞福寺は東日本大震災で壊滅し、新しく建てられました。

お寺に着いて、まず目についたのが近くの小さな田んぼですが鹿などの野生動物対策と思われる柵で囲んでありました。境内にある庭木や花にも柵や金網がしてあり、一向に減る気配がない鹿は何処でも大変なようです。

山は木や草の緑がいっぱいで人里まで来なくてもよさそうに思いますが、そうはいかないようです。

牡鹿半島の各浜は震災後に離れた人が多く、野生動物が増えています。洞源院でも鹿対策の柵を設置するなど苦慮しています。

「なむ」三十三号の発行にあたり、皆様にご協力いただきましてありがとうございます。これからも広報部一同頑張ってまいりますのでよろしくお願い致します。

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