洞源院寺報なむ
第28号(平成30年1月1日発行)
人生に『修証義』をその3
住職 小野﨑秀通
懺悔滅罪(さんげめつざい)
「仏祖憐みの余り広大の慈門を開き置けり」とあるように、仏の慈悲は一人でも多くの人を救わないではいられない、門を叩く全ての人に、仏教の門は開かれているのです。 我は善人と思っていたり、自分の人生を苦と思っていない人は、宗教に救いを求めないかもしれませんね。でも、何か苦しいことがあり、こんな自分でも救われるのだろうかという思い、また真理を学びたいという思いがあるならば、仏教の門は、誰にでもおおらかに開かれているということです。
ただ、この門を開くには鍵が必要で、それが「懺悔」という鍵です。
業(ごう・人のすべての計らい)は善業・悪業共に現在・未来・永劫(三時)に報いを受けますから、善業を積むことは命の喜びです。一方、悪業も三時にわたって罰を受けるのですから、これは辛く苦しいことです。
道元禅師は、懺悔するには「仏の前で」と教えています。仏の前では誤魔化せないのだということです。誰にでも開かれている門とはいえ、真の懺悔でなくては、入ることはできない門と言えましょう。
日本人は「苦しい時の神(仏)頼み」というように、神仏の前において、懺悔するよりも、お願いの方が多いようです。
生きていれば、人間は何かしらの罪を犯します。生きていること自体が罪だといった人もいますが、日常の中でも、反省すべきことがあります。例えば、「自分さえ良ければよい」「自分だけが正しい」という思いは、自らを汚してしまいます。
曹洞宗には授戒会という儀式が本山などで毎年修行されます。その中に懺悔道場という儀式があります。参加者はそれぞれに「小罪無量」と書かれた紙を導師である戒師様にお渡しして、それを焚き上げて頂きます。この儀式を通して、仏様に自分の反省すべき罪をお許し願います。自覚している罪ばかりでなく、普段気づかない罪もあるので、「どうぞお許しを」と願うわけです。
貪り、怒り、愚かさの煩悩によって起る反省すべきことは、誰しもが山ほど持っているのではないでしょうか。仏前で反省しつつ生きていくという生き方が、気持ち良く生きられる生き方と言えましょう。
その反省すべき内容が重い場合は、どうぞ、その重荷を仏様に預けて下さい。仏様は受け止めて下さいますから、心からの懺悔をして、仏弟子として広い大道を歩ませて頂こうではありませんか。
また、「悔いること」はできても「改めること」が出来なければなりません。すべての悪業は執着する心、とらわれの心から生じていたと分かった時に、本当は、そこではじめて本心からの懺悔が出来るのです。つづく・・・
大般若祈祷会のご案内
1月18日(木)
10時半~11時15分 設斉(食事)
11時~12時 カンカラ3線・演歌師 岡大介(漫談)
12時半~13時半 祈祷法要
開創957年を迎えたご本尊観世音菩薩の初縁日に、守り本尊と八大竜王神をご開帳しご祈祷がなされます。
家内安全・闘病平癒・身体壮健
子孫長久・家業成就・家門繁栄
除厄招福・商売繁盛・工事安全
交通安全・海上安全・漁業豊漁
合格祈願・学業成就・良縁結成
無事息災・海産豊穣・家庭円満
安産祈願・福寿長寿・心願成就
それぞれ願意を選び申込書に記入し、お持ち下さい。
お檀家以外の方でもご祈祷を受ける事ができますので広くお誘い合わせお参り下さい。
お待ちしています。
敬老会に参加して
栄田(旧小竹浜) 吉野雄一
洞源院の敬老会に招かれて、久しぶりに行事に参加しますので少し心配と嬉しさが交錯しました。
会場に参りますと、声を掛けられ、ご住職様と奥様に「おいでになられましたね、お待ちしていました」それにお世話役の方々にも声を掛けていただき我が家に帰ってきた雰囲気になり、大変気を良くしました。
開幕です。進行の方の名司会です。挨拶と出演者の紹介、そして、当院のご住職様のお話、参加なされた方々が心安らぐお言葉でした。いよいよ開始です。
先ずはアコーディオン演奏があり演奏に合わせて皆様全員で懐かしい童謡の合唱、次にご住職様の独唱、続いて奥様の美声によるお歌、そして私も懐かしい歌を歌わせていただき、参加者の方全員による合唱です。
次に女性の方々の舞踊二曲でした。会場からアンコールの声が上がりましたが、次のプログラムの関係で、予定されている演目へと進みました。
曲に合わせてのスコップ三味線、それにジャズ演奏と素晴らしい歌声でした。
昼食です。楽しく、お赤飯を美味しくいただきました。
昼食の後は趣向を変えての輪投げ大会、童心にかえって、嬉しい悲鳴をあげながらの大会です。さらに景品がついたのです。奥様方の嗜好に合う、そして料理に役立つ物です。皆様、恵比須顔になりました。
ご住職様、そして役員の方々の深い思いやりと気高いお心で敬老会を毎年実施していただき、参加者を代表して深く御礼申し上げます。
【読者の広場】
「あんこ好きのよもやま話」
山田信次
正月といえば餡子(あんこ)餅
何故餡子かと言いますと、小豆(あずき)の赤色には、古くから災難が身に降りかからないようにする、邪気を払う効果があると信じられていたのだそうです。
私は無類の餡子好きで、中でも「ぼた餅」には目がありません。亡き母の得意料理だったことがもとになっているのだと思いますが、その味を受け継いでくれた家内が季節に関わらずこまめに小豆を煮て作ってくれるので益々好きになってきます。
このぼた餅、春彼岸の頃は牡丹の花に因んで「牡丹餅」と書き、秋彼岸には萩の花が咲く時季なので「お萩」と書くということは皆様ご存じのとおりですが、季節に関わらず食べたがる私は、夏や冬の呼び方がないか調べてみました。
ありました!
夏は「夜船(よふね)」冬は「北窓(きたまど)」という名前がついているそうです。
なぜ?と思いますよね。
牡丹餅は、餅といっても杵でペッタンペッタンと餅つきをしないので「つき知らず」とも言われ、これが語源となった言葉遊びから
ら生まれたそうです。
(餅を)「いつついたかわからない」に引っかけ、「(夜で船が)いつ着いたか分からない」ということで「夜船」と命名され、一方の冬は、北側の窓からは月が見えないので月が出ているのが分からない=「月知らず」ということで「北窓」と名づけられたというのです。
この呼び方は、全国の和菓子屋さんでも使っているそうです。
日本語だからこそできる、なんとも風情のある、おしゃれな言葉遊びではないでしょうか。
今年も、赤色の小豆が持つ厄払い・邪気払いのご利益を信じつつ、ご先祖様の供養や家族の健康を祈願して四季折々に、春には「牡丹餅」夏には「夜船」秋には「お萩」冬には「北窓」を楽しみたいと思います。
大般若祈祷
今年も正月十八日初観音縁日に三尊御開帳をして大般若転読祈祷会が修行されます。三尊は源義家公守り本尊聖観世音金銅像・義家公一代神八幡大菩薩像・八大龍王尊像です。
その昔、伊達政宗公は幕府の御城米を江戸へ運ぶために、貞山堀を石巻へと繋ぎ、千石船で運ばれたことから、洞源院は千石船の祈願所となって八大龍王尊を祀り大般若祈祷会が修行されるようになったと伝えられています。
『大般若経』は、お釈迦様が仏教の中心思想である「一切皆空の理」が説かれたお経で、六百巻にも及び、字数にして五百万字で諸経典中でも最大の経典です。
この経典を供養すれば、至上の幸せがもたらされるとされ、古来より『大般若経』六百巻を転読することによって、空の教えを体得し、すべての苦厄を消し去って、内外の怨敵を退散させ、五穀豊穣・国家安寧・除災招福を祈念し人々に幸福を導くことを目的とした大法要です。
この法要の時、須弥壇上に十六善神の掛軸をお祀りします。
お釈迦様の説法を警護し、その教えを守護して仏法を信奉する皆様を守って下さる。
『大般若経』は、玄奘三蔵法師が最晩年に四年の歳月をかけ翻訳され、間もなく亡くなってしまいましたが、自分の生存中に翻訳できたことは、諸仏や龍天の助けがあったと述べたことから、この経典が国家や民衆を守ってくれると信じられ、「大般若祈祷会」の成立となりました。
『大般若経』六百巻を全部読上げるには、何日もかかります。それを短時間でお唱えするために、数人の僧侶が分担して転読します。
霊験あらたかな経典ですので、一巻ごとに『降伏一切大魔最勝成就』と喝破して大魔を降伏させて祈念します。その間、導師は六百巻の中の理趣分という一巻を真読して唱え続けていきます。
参拝の皆様は祈祷されている間、仏法の威神力を信じて、それぞれの諸願を成就せんと念じて下さい。
すずむしの家 自然は私達の財産
石巻市大街道 田代清行
田代さんは、保育園や介護施設などに自分で育てたすず虫を無料で提供してきました。洞源院ちえぶくろの会「寺子屋寄席」の前にも境内に放していただきました。お寺はすぐ後ろが山で自然がいっぱいなので放したすず虫が鳴いていても気がつかない人が多かったかもしれません。
裏山法面土砂崩れ再工事
「なむ」二十七号で洞源院震災裏山工事完了を報告したばかりですが、八月十二日夜半の大雨で法面の一部が崩れ落ちました。この部分の地質は粘板岩のため、水を含んで重くなった土がずり落ちたようです。
復旧作業が調査などの関係で遅れており、現在継続中です。
裏山防災工事は法面を削って帯状の細い金網を敷いて、草の種が入った土を表面に吹き付けています。この草が鹿にとっては美味しい草なのか、草が芽を出してくると鹿が頻繁に現れ、この生えたばかりの草を食べるようになりました。街から墓参りなどに来る人達は野生の鹿に出会い感激しているようです。
地元の人達にとっては厄介者で、檀家有志により設置された鹿対策ネットも、度々、鹿に破られ、何度か補修を繰り返しています。
活動報告(8月~12月)
- 8月6日(日)
- お盆の清掃奉仕
叢林舎総会 - 8月13日(日)~15日(火)
- お盆供養
- 8月17日(木)
- 山門大施餓鬼会
- 9月16日(土)
- 敬老の集い
- 9月23日(土)
- 永代供養
愛々動物供養 - 10月5日(木)
- 宮城梅花大会(仙台サンプラザ)
- 10月14日(土)
- 寺子屋寄席
- 11月15日(水)
- 希望舞台劇団来院
- 11月19日(日)
- 「焼け跡から」公演(渡小体育館)
- 11月25日(土)
- 東北大留学生来院
- 11月30日(木)
- 保育園児の落ち葉拾いと焼き芋会
- 12月8日(金)
- 成道会 ひがし・たから保育園園児参加
- 12月10日(日)
- 年末清掃奉仕
成道会 仏の教えを聞く会
護持会役員会 - 12月31日(日)
- お焚き上げ・除夜の鐘
行事予定(1月~5月)
- 三朝祈祷
- 元日~3日
- 大般若祈祷会
- 1月18日(木)10時半~
- お涅槃会
- 2月17日(土)午後1時半~
- 東日本大震災合同供養
- 3月11日(日)午後2時~
- 春彼岸供養
- 3月18日(日)~21日(水)
- 11面観音永代供養・愛々動物供養
- 3月21日(水)午後2時~
- 花まつり・仏の教えを聞く会・ちえぶくろの会観桜会
- 4月8日(日)午後1時半~
- 東北大学留学生研修
- 5月12日(土)12時~
- 護持会総会
- 5月19日(土)午後2時~
※行事予定の日時は諸事情により変更する場合があります。
おしらせ
- コーラス参加者募集
- 仏教讃歌・童謡などをみんなで歌ってみませんか! ご連絡は寺族美紀まで
- お墓の相談
- 墓守後継者のいない方あるいは永代供養希望の方等は早めにご相談下さい。 住職
転居先情報を求めています
仮設住宅等から転居された方で、まだお寺に住所変更を届けていない方がいます。ご存知の方は情報を提供して下さい。
編集後記
毎日寒い日が続いていますが、石巻の各浜では牡蠣や海苔などの養殖漁業が最盛期を迎え活気づいています。今年の冬は寒くて雪が多い予報ですが、石巻市内から通って漁業をしている人達も多いので大変でしょう。
東日本大震災の傷跡は大きく、多くの人達が家族や生活環境が変わってしまいました。復興に向かって皆が努力していますが思う様にはいかず、各地で新しい町づくりの模索が続いています。
「なむ」編集会議で色々な意見がでましたが、以前から話のあった「読者の広場」を設けて掲載していくことになりました。皆さんにも参加して頂いて親しまれる寺報「なむ」にしていきたいと思っていますので、洞源院広報部まで、ご意見やご希望などがありましたらお寄せ下さい。
「なむ」二十八号発行にあたり、皆様にご協力いただきましてありがとうございます。これからも広報部一同、頑張ってまいりますので本年もよろしくお願いいたします。