洞源院寺報なむ

第26号(平成29年5月1日発行)

人生に『修証義』をその1

初転法輪

住職 小野﨑秀通

今回から数回は、仏教の人生観を説く『修証義』の聖典に学んで行きたいと思います。

その冒頭に「生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり」と始まります。

誰でも心のどこかに、気になっていることは、「生死」のことではないでしょうか。それも「生」よりも「死」の方でしょう。生死を明らめることこそが、仏教の根本問題だという事です。生とは何ぞや、死とは何ぞやと冒頭から投げかけてくれています。

道元禅師は「この生死すなわち仏の御命なり」と言っています。

「仏の御命」なれば「涅槃」とも「大安楽」とも言い換えられ、「生死は仏そのもの」であるといえます。

死があるから生が深まり、生があるから死が深まる、生と死を切り離すことはできません。「生」と「死」ではなく「生死」で一つ、別の言葉で表せば「命」そのものと言えましょう。自分の命は自分のものと思っていた人が、この命は「仏の御命」と受け止めたとき、はじめて信仰の入口に立ったと思ってよいでしょう。

多くの人は、生まれようとして生まれたという自覚はなく、不思議としか言いようのないはたらきによって、生まれ、そして死ぬ命ではありますが、それを「仏の御命」と道元禅師は教えてくださったのです。

仏教では、この世のすべては、何らかの縁によって存在していると説きます。全く単独に自力のみで存在し、出来事も物も人もありませんが、時々、自分の力だけ生きているような錯覚を起こしてしまう人もいますね。

さて、善因を蒔いて、この世で良いことがあるかと言えばそうばかりでもありません。一方、あんなひどい人が、どうしてあんな良い目にあっているのか、ということもあります。このことについては、善因あるいは悪因の結果が、現世に生じることもあれば、来世に生じることもあり、さらに来世以降に生じることもあると仏教では説きます。これを「三時業」と言います。今ここで、経済的や物質的に恵まれたり、世間的に出世するようなことを「良い目」と言い、その反対を「悪い目」というのは、世俗的な見方に過ぎません。お釈迦様の教えは、この世の評価、価値判断に関わらず、この身心において「いかに清々白々と生きるか」、そのための教えと言ってもよいでしょう。人間の欲望を叶える教えとは違います。 お金には恵まれなくとも、またどんなに孤独でも、億万長者であろうが、名声を博している人であろうが、どんな境遇にあっても、どうしたら清々白々と生きられるかという教えなのです。それは、いかに豊かな心で生きるか、いかに自由な心となれるか、そのためには、どんな種を蒔いたらよいのか、ということを教えてくれるのが仏教です。次回に続く・・・

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護持会主催 日帰り研修旅行

日時
6月17日(土)
日程
洞源院8時出発
三陸道・福島へ
福島県新地夢海庵美術館見学
南相馬市博物館
銘醸館昼食
同慶寺慰霊法要・講話(原発事故その後・・・)
岩屋寺拝観(名工寺院拝察)
三陸道・帰路
洞源院着午後5時
ご参加をお待ちしています
6月1日迄、お寺に申し込み願います。(会費4,500円)

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東日本大震災七回忌法要

東日本大震災から6年となった3月11日、各地で自治体主催の追悼式、慰霊祭が行われ遺族をはじめ多くの方々が冥福を祈りました。

洞源院では、午後1時30分からの式に、300名程の遺族や親族、縁者の方々が参列し、会場がいっぱいになりました。

洞源院住職のお仲間や副住職の修行時代のお仲間が、北海道など遠方からも駆けつけて下さり、30名程の僧侶で復興祈願と慰霊供養が行われ冥福を祈りました。

地震発生時刻の午後2時46分には黙祷を捧げました。

東日本大震災から六年が経ち、最近は震災の記憶も薄れてきているのかと感じていましたが、甚大な被害で、家族、友人や仕事関係が変わってしまい、まだ気持ちの整理がつかない人も多くいるように感じました。

法要終了後、南こうせつさん、佐久間順平さんによる慰霊コンサートがありました。

これは昨年11月9日、仙台で開催された曹洞宗青年会主催の合同慰霊祭に出演されていた南こうせつさんから、住職に直接申し出があり洞源院の七回忌法要への友情出演が実現しました。

こうせつさんと順平さんの歌と語りに、これからまだまだ続くであろう復興の長い道のりを歩むご遺族の方々や私達を大いに励まされ、勇気づけられ、感動の涙を流す方々も見られました。

南こうせつさん、佐久間順平さんには洞源院まで足を運んで頂き本当に感謝申し上げます。













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裏山の防災工事完了

裏山防災工事のために、駐車場が狭く皆様に大変ご迷惑をおかけしていましたがこの度ようやく工事が完了しました。
お寺の裏側にも駐車のスペースができました。墓参りなどにもご利用下さい。

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曹洞宗の信行生活

「お仏壇のまつり方」

なぜお仏壇をまつるの?
お仏壇をまつる最も大切な意義は、私達が仏教徒として生きる信仰実践の拠り所である、ということです。
曹洞宗の信仰実践の基本は、端坐(たんざ)・合掌(がっしょう)・礼拝(らいはい)です。静かな心で姿勢を正して坐り、合掌礼拝することにより、私達の日々の生活を反省し、仏の教えを生活の中で実践する活力を生むのです。そして、その実践が心の安らぎへと連鎖していくのです。
お仏壇にご先祖様をまつり、おまいりするということは生命が、生命から生命へと受け継がれ、今の私があるということへの報恩感謝の実践といえます。 それは私が私一人で生きてきたのではなく、多くの生命によって受け継がれ、生かされているのだと深く実践していくこととなるのです。
このように、お仏壇は、ただ単にご先祖様をおまつりするだけの場所ではありません。お仏壇の中は仏様のおいでになる世界、須弥壇(しゅみだん)を表しており、中心に本尊様がまつられています。大きさは違いますがお寺の本堂と同じです。
お仏壇の中心はお釈迦様です。
お仏壇をまつる場合、お仏壇の中心はお釈迦様であることをはっきりと心にとめることです。曹洞宗の本尊様は、仏教の開祖である釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)です。お仏壇の上段中央に、お釈迦様のお像をまつります。基本的にはお釈迦様だけでよいのですが、お釈迦様と道元禅師様、瑩山禅師様の一仏両祖(いちぶつりょうそ)のお絵像をお掛けする場合には、中央にお掛けします。既にお釈迦様のお像がまつられている場合は、その後ろにお掛けします。
お位牌は上段の左右に
ご先祖様のお位牌は、お釈迦様の左右、または次の壇に、古いお位牌を向かって右に、新しいお位牌は左におまつりします。
親類、縁者のお位牌がある場合は、その家の先祖代々を右側、傍系を左側におまつりします。
お供え物は中段に
お供え物は、五つのお供えが基本で、香り(線香)、生花、灯明、お水、飲食(お霊膳、果物、し好品等)です。本尊様やご先祖様、故人がいますが如くお供えします。
ご飯に限らず、皆さんが召し上がる食事をお供えしてください。そして、お供えした物は無駄にしない様にいただける物は皆で分け合っていただきましょう。
また、頂き物をした時は、必ず一度、お仏壇にお供えする様にしましょう。 お茶やお水をお供えする器のことを茶湯器(ちゃとうき)といい、中段の中央にご飯を、その両側に茶湯器をお供えします。 お菓子や果物は高坏(たかつき)に盛り付けて茶湯器の左右にお供えします。
下段には三具足を
下段には向かって左側より花立て(一瓶)、香炉、ろうそく立て(一本)の三具足(さんぐそく)を置きます。香炉にも裏表があり、三本足の場合には、手前に一本の足がくるようにします。
おまいりに必要な物は下段に
日常、おまいりするために必要なリン(鈴)や経本、数珠は下段に置きます。リンは右に置きます。木魚がある場合は木魚を右、リンが左になります。
以上は基本的なまつり方を紹介しましたが、近年の生活様式や住宅事情もあり、本格的なお仏壇をまつることが困難な場合があると思います。そのような時は、本尊様のお絵像を飾り、お位牌を置き、朝夕、心を込めておまいりするだけでもよろしいのです。
おまいりの仕方
朝の洗顔を済ませたら朝食前にご飯やお水、お茶をお供えし花の水を替えてお参りします。
初めに姿勢を正し、お釈迦様を仰ぎます。次に呼吸を整え気持ちを落ち着かせます。これは坐禅に通じる作法です。
ロウソクに火を灯し、お線香一本に火をつけ少し押しいだいてお上げし、リンを三度鳴らします。
先ず合掌して一礼します。合掌のまま「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」または「南無帰依仏(なむきえぶつ)、南無帰依法(なむきえほう)、南無帰依僧(なむきえそう)」とお唱えします。
唱え終わったらリンを二度鳴らし合掌のまま一礼します。

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カルフォルニア大学大学院研修会

3月28日にカルフォルニア大学大学院生が坐禅研修に来院しました。

花まつり 花見会

4月22日にmiwako(美和子)さん、のアルトサックス、フルート、多田和幸さんのテナーサックスの演奏が行われました。

活動報告(平成29年1月~4月)

三朝祈祷 元日~3日
大般若祈祷会 1月18日
お涅槃会  2月15日
東日本大震災合同供養 3月11日
春彼岸供養 3月17日~20日
十一面観音永代供養愛々動物供養 3月20日
被災地みちのく巡礼参拝 3月22日
カルフォルニア大学大学院研修会 3月28日
浜供養巡礼 4月8日
石巻グリーングローブ会総会 4月20日
花まつり・仏の教えを聞く会 4月22日
ちえぶくろの会観桜会 4月22日

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行事予定(平成29年1月~4月)

東北大留学生研修会 5月13日(土)11時~
護持会総会 5月20日(土)午後2時~
十三教区寺院総会 5月22日(月)
お泊り保育(合同)石巻ひがし保育園・石巻たから保育園 5月26~27日(金土)
十三教区護持会総会 6月2日(金)
先代住職二十三回忌法要寺族7回忌法要 6月4日(日)午後3時~
護持会研修旅行 6月17日(土)
本山特派布教 真法寺 6月29日(木)9時~
東北大学留学生研修会 7月1日(土)正午~


行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。
今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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住所をお知らせ下さい

仮設住宅等から転居された方で、まだお寺に住所変更を届けていない方は、早めに現在の住所及び電話番号をお知らせください。

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編集後記

3月11日、洞源院で東日本大震災の七回忌法要が合同で行われました。月日が経つのは早いもので、震災から6年が過ぎました。まだ仮設住宅で生活している人達もいますが、石巻、渡波にも高層の復興マンションが建ち、以前とは違う風景になりつつあります。

各被災地区の人々はそれぞれの地で新しい生活が始まっています。

石巻の水産業界では海苔は好調でしたが、牡蠣は風評被害もあって価格が低迷し、魚類も漁獲量が少なく、このままでは復興も思う様にはいかなくて大変なようです。

寺報「なむ」26号発行にあたり、編集会議を何回か開催してきました。なむ26号では紙面を工夫し、皆様が日常生活の中でご先祖様と向かい合うお仏壇のまつり方やおまいりの仕方などを紹介するコーナーを設けてみました。

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