洞源院寺報なむ

第21号(平成27年8月1日発行)

告諭(おことば)

曹洞宗管長 江川辰三

私たちは、今、たくさんの課題を前に、その生き方が問われています。

東日本大震災、大津波、東京電力福島第一原子力発電所事故からすでに四年の月日がたちました。にもかかわらず、復旧復興の道のりはいまだ遠く、多くのご遺族や今も避難生活を余儀なくされている二十四万余の人々の悲しみと苦難は計り知れません。

さらに、地球温暖化と多発する自然災害、戦争、貧困、格差、いじめ、そして自死等の深刻な問題が山積しています。

この現実の中で、「人権の尊重、平和の実現、環境の保全」の取り組みを柱とし、自己中心的な快適さや便利さを求める暮らしを見直し、原子力に頼らない社会、一人ひとりの命が大切にされる社会の実現を願っています。

そのために、本年度も四(し)摂法(しょうぼう)の一つである「布施」、物でも心でも惜しみなく分かちあい、互いに生かしあうみ教えに学び、実践いたします。

道元さまは、「布施」とは貪らないことと示されました。それは、へつらうことなく、見返りを求めることのない生き方です。

瑩山(けいざん)さまは常に大いなる慈悲心をもって、一切の衆生に坐禅無量の功徳をめぐらすように説かれました。

本年は、大本山總持寺二祖峨山韶碩(がさんじょうせき)禅師(ぜんじ)六百五十回大遠忌(だいおんき)の年にあたります。皆さまとともにこの勝縁を慶び、報恩のまことを捧げましょう。

峨山さまが身をもって示された「相承(そうじょう)」のおさとし、それは、み仏とご先祖の前で姿勢を調え息を調え心を調えてしずかに坐り、一仏両祖のみ教えを学び、受け継ぎ、そして実践を通して丁寧に伝えることです。

私たちは、今、「布施」のみ教えを相承し、人びととともに、生きとし生けるものの安らぎを願い、ともに寄り添い、ともに歩む菩薩行を進めてまいりましょう。

南無釈迦牟尼仏
南無高祖承陽大師道元禅師
南無太祖常済大師瑩山禅師
合掌


以上の事が、二十七年度曹洞宗管長様のおことばでした。

特に「人権の尊重、平和の実現、環境の保全」をよりよく実現するには、自分自身どのような日暮をして行けばよいのかを各々が工夫し努力しなければなりません。

管長様は、お釈迦さまのみ教えを正伝する曹洞宗を信仰し、今の世に正しく受け継ぎ伝えて行くことが大切だとしています。その実践が、物でも心でも惜しみなく分かちあい、互いに生かしあう布施行だということです。

「与える時心が豊かになり、惜しむ時、心が貧しくなる」

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お盆供養のご案内

本年もお盆の供養は、お寺でお勤めいたします。
8月13日(木)
 午前の部 7時・9時・11時
 午後の部 4時・5時
8月14日(金)・15日(土)
 午前の部のみ 7時・9時・11時
*青色の供養申込み用紙にご記入の上ご持参下さい。

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山門大施餓鬼のご案内

各家先祖精霊供養です。お盆供養とは別にご参加下さい。
8月17日(月)
 午前10時30分~ 設斉(食事供養)
 11時30分~ 法話
 12時30分~ 大施餓鬼会法要
*白色の申込用紙にご記入の上ご持参下さい。

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大本山總持寺参拝

出発
6月13日薄曇りの穏やかな朝、30余名で大本山總持寺の二祖峨山禅師の六百五十回大遠忌に向かいました。
總持寺到着
横浜鶴見は多数の路線電車が輻輳し多くの乗降客で賑い、南は大工場地帯です。街の喧騒から8万坪の広大な敷地の境内に入るや緑に囲まれ静寂そのものの中に壮大な大寺院の姿が現れました。
修行僧に寺院や伽藍の案内、總持寺での朝課、作務、食事内容等の説明がありました。
院内は迷路のようであり、百間廊下の磨き上げた光沢も毎日の拭き掃除で表面が塗装したかのようでした。何よりも太祖堂の広さに圧倒されました。この本山で二祖峨山禅師は人材育成に努められ、俊才を輩出し高祖道元禅師の曹洞宗を全国津々浦々に布教し発展させた。悠久の時を経てこれまで沢山の修行僧が輩出され、地方に戻っても更に仏道教化に励んでいたことでしょう。
18時夕食、19時より本山
布教部長の法話を拝聴し、20時に入浴し21時消灯。
檀信徒供養
4時30分起床、5時より太祖堂で檀信徒供養が行われましたが、大祖堂は幅約五十間、奥行き約二十五間の畳敷きに須弥壇を挟んで両側にそれぞれ60名程の修行僧が整然と並び、経を唱えますが一連の所作が厳かに粛々と淀みなく律して執り行われました。引き続いて毎日の朝課、御開山拝登の儀が行われました。
大遠忌報恩供養
いよいよ先導師を従えて洞源院住職が勤める焼香師により二祖峨山禅師の大遠忌報恩諷経(ふぎん)が執り行われました。
大勢の和尚さんや多くの修行僧また本堂の特異な雰囲気の中で緊張なされたでしょうが堂々と焼香師の大任を果たされ、素晴らしい供養の儀式でした。当檀信徒の皆さんも身を引き締められて参列していたと思います。
この儀式を終え、和尚さんと檀信徒皆で貫首様の部屋に向かい江川辰三貫首様に拝謁し、報恩供養の御礼を申し上げ、貫首様より遠路のご苦労と今なお震災の復興の遅延を察した温かいお言葉をかけていただきました。
精進上げ
9時、總持寺を後にして伊香保温泉に向かい、温泉に浸かり疲れを癒し、楽しい夕食会。
15日9時30分ホテルを出発、日光を経由して夕刻に洞源院に帰山。
仏様の勝縁に恵まれたことを感謝いたします。合掌

米谷 行弘


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仏壇のお供え物 その一・ お花について

仏壇に飾ってある花を見ると心が和みます。花は仏様のお姿を見るのと同じことです。それは、見えない仏様の衣裳となってくれているからです。ですから仏様に相応しい花をあげるよう心掛けたらよいと思います。

その意味では薔薇のようなトゲのある花をあげないようにしてきました。トゲは人生をいばらにしてしまうことにたとえられます。また、造花も好ましくありません。諸行無常の世にあって常に命を感じさせてくれる生花をあげるべきでしょう。普段は質素に一輪の花でも良いのです。長時間留守にする時や花のない時は青木の枝でも良いのです。因みに樒(しきみ)は仏前に供える青木です。

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道元禅師さま

曹洞宗のご本尊は釈迦牟尼仏・高祖道元禅師・太祖瑩山禅師の一仏両祖で、そのみ教えを信仰し、お祀りします。

道元禅師さまは1200年に京都の久我家にご出生され、14歳の時、比叡山に上り、受戒得度されました。やがて中国宋の国へ留学することを決意して24歳の時、明州の天童山に至り、本格的な修行に入りましたが、ほどなくして、真の師を求めて広い中国各地を遍歴されました。

しばらくして再び天童山に戻られた禅師さまは、新たに住職として入山された如浄さまと出会われました。

ある日のこと、如浄さまは早暁坐禅で居眠りをしていた修行僧を「坐禅は身心脱落なり」と叱責されました。(坐禅は身も心も計らいがなくなったものだ)その言葉を聴いて、はたと気付かれた禅師さまは、如浄さまに感謝の礼拝をされました。こうして、道元さまは如浄さまから、お釈迦さま以来のみ教えを受け継がれたのでした。如浄さまの下で修行をされ、釈尊より脈々と伝えられてきた仏法を受け継がれた禅師さまは、28歳の秋に帰国されました。この時、暴風雨に遭遇されながらも、『観音経』をお唱えすると、一葉観音さまが現れ、そのご加護で無事に帰られたといいます。

帰国後、寓居すること4年余り、この間『普勧坐禅儀』『弁道話』を著され、修行(修)と悟り(証)は一つであり、このことこそが仏教の教えであることを改めて示されました。折に触れて熱心に教えを説き、多くの人々の心を惹きつけました。三十四歳の時に宇治に興聖寺を開き、日本で初めての僧堂(坐禅堂)を設けて出家・在家の指導を本格的に開始されました。後に道元さまの後継となられるお弟子の懐奘さまがある時「坐禅修行する上で大切なことは何ですか」と問われました。すると「仏になろうと求めないことだ。坐禅をすることが仏を行うことであり、坐禅をしている人が仏なのだ」と答えられました。

またこの頃から正伝の仏法を伝えるべく、『正法眼蔵』九十五巻を著しはじめました。

聖典の『修証義』は『正法眼蔵』をもとに明治に作られました。
興聖寺での生活を続けられていた道元さまは、「人里を離れ、深山幽谷の地で弟子の育成につとめよ」という先師・如浄さまの教えを気にかけていました。そこで、一大決心をされ、44歳の時、熱心な信者・有力な支援者の波多野義重公の取り計らいで、越前の地に入られ、大仏寺を開かれました。このお寺が日本曹洞第一道場の永平寺です。

やがて、道元禅師さまは、自らの身が病に冒されている事を知られました。波多野義重公の勧めもあり、京都の俗弟子覚念の邸で療養することになりました。1253年8月28日、道元禅師さまは、『法華経・如来神力品』の一節を柱に書き付けると、静かに筆を置かれ、示寂されました。世寿54歳でした。

明治天皇より、承陽大師の称号を賜り、以来、高祖承陽大師と呼称します。

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日常の仏教語「一服茶」

お客様がおいでになると「一服どうぞ」と差し上げますね。
お茶ほど私たちの日常に愛飲されている飲み物はありませんが、お茶はいつ頃から飲まれる様になったのかといいますと、鎌倉時代に栄西禅師が中国から日本に伝えたそうです。

初めは薬用として寺院の中だけで飲まれていました。しかし、よい飲み物であるということで禅宗のお茶の作法と共に茶道となって庶民の間にまで広がりました。

作法に従って先ず上座に案内し、甘いお菓子を進め、次にこのお茶を一服お出しします。そうです。一服でよいのです。
これは仏様にお茶を差し上げる作法が、そのまま人間へも応用されたものでありましょう。
「一服茶は縁起が悪いからもう一服」と言われます。一服茶は決して縁起など悪くありません。
お茶は一服でも二服でも自分の体調に合わせていただきましょう。また、齢をとったら一膳飯と一服茶で体に負担をかけないで、長生きすることこそ縁起が良いことではないでしょうか。

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写経会のご案内

2月、3月、4月、6月、7月、9月、10月、11月
各第1日曜日 午後1時半から洞源院会館で。
(参加費500円)

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活動報告(平成27年5月~7月)

5月12日 花まつり・仏の教えを聞く会・佐久間順平の弦楽器演奏&李政美の歌唱
5月16日 護持会総会
5月18日 十三教区寺院総会
5月23日 東北大学留学生研修
6月13~15日 大本山總持寺団参
6月17日 梅花講特別講習会(洞源院会場)
6月20日 浜供養(仙台荒浜)
7月2日 本山特派布教(牧浜吉祥寺)
7月11日 東北大学留学生第二回研修
7月18日 浜供養(東名浜) 

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行事予定(平成29年1月~4月)

8月8日 お盆前の清掃奉仕 午前8時~
8月13日~15日 お盆供養
8月17日 山門大施餓鬼会 午前10時半~
8月21日~22日 ひがし保育園お泊り保育会場
9月13日 敬老の集い 午前10時~
9月14日 浜供養 午後1時~
9月23日 永代供養及び愛々動物供養 午後1時半~
10月17日 寺子屋寄席 午後6時半~
11月10日 仏の教えを聞く会(大もり屋) 午後2時半~
11月15日 市防災訓練会場 午前8時~
12月6日 成道会・仏の教えを聞く会 午後1時半
12月13日 年末清掃奉仕 午前8時半~
12月31日 除夜の鐘 塔婆・お札お焚き上げ 午後11時~

行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。
今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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編集後記

洞源院の寺報「なむ」が発行されて7年になりました。
ご案内のとおり、小竹浜山居に開創されてから950年も続いた歴史ある洞源院。歴代ご住職の計り知れないご労苦と、ご先祖様を敬う心豊かな先人檀信徒の強い結びつきがあればこそ続いた歴史ではないでしょうか。

私は、お寺の在り方を太陽と地球の様に思えてなりません。
太陽は絶妙な距離間隔をとり地球に限りない光と恵みを与えてくれます。
「無言の慈光」それは当にお仏様が慈眼静かに座すお姿そのものに思えるのです。古来より日本人は「お天道様」と崇めてきたゆえんではないでしょうか。
今、振り返りみるとお天道様もお仏様も余りにも身近に在る為その有難さを忘れがちです。

私達編集委員は記事作りの為に住職と膝を交えて時間を忘れて話し合い、その事により仏様やお寺の事柄が判ってきた気がします。これからも脈々と続くお寺とお檀家を結ぶパイプ役の一助を担えれば幸いです。
皆様の疑問やご要望をお聞かせください。

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