洞源院寺報なむ

第20号(平成27年5月1日発行)

相承(そうじょう)

住職 小野﨑秀通

曹洞宗は、道元禅師が中国から初めて仏法を伝えられて永平寺を開かれ、その四代目の瑩山(けいざん)禅師が總持寺を開かれてお弟子に受け継がれ、やがて全国に発展しました。この永平寺と總持寺を両大本山としています。

本年は總持寺の二代峨山韶碩禅師の六五〇回大遠忌の年で、遠忌の大行事が開催されています。そのテーマが「相承」とされました。

「相承」とはお釈迦様のみ教えを、師から弟子へと絶えることなく受け継ぎ伝えていくことです。

峨山禅師は瑩山禅師より受け継がれ、總持寺の基礎を築かれ、二十五哲と呼ばれる多くの門弟を育成しました。さらにその教えは、弟子から弟子へと受け継がれ、全国に広まっていきました。

現在、曹洞宗が永平寺・總持寺を両大本山として15,000の寺院、そして凡そ1000万人の檀信徒を要する国内最大の教団に至っているのも、峨山禅師の功績が大なるものがあります。こうした大いなる流れの上に私たちが存在しています。

私もその末孫として報恩の導師・焼香師を勤めさせていただくことになりましたが、同時にその教えを未来に繋げられるように伝えて行く責務を感じています。

当院もご案内の通り、6月13日より2泊3日で団参を予定していますので、まだ数名の参加が可能ですのでお申し込み下さい。

震災の大津波で祖母、両親を亡くした兄妹がいます。震災の時は2人とも大学生でした。20年以上前に祖父が亡くなって、毎月の月命日に祖母、両親と共に幼い頃からお墓参りに来ていました。

その折りに「ご本尊様にあげてください」と必ずお花を供えていかれました。今、実家を失ったこの兄妹は、それぞれ社会人となり、関東方面で働いています。年に数度墓参りに帰郷しますが「ご本尊様にあげてください」と親がしていたように真心を供えてくれています。祖母の想いが両親に受け継がれ、両親は行いを通じて、いつとは知れず息子や娘に伝えているのです。

最近は祖父母、親からの相続で、争い事が多いと聞かれます。親・先祖からの相続は財産の物だけを相続するのは片手落ちです。「想い・心」を相続することこそ大切です。

『父母恩重経』に「世の中に得がたい二人がいる。その一人は恩を感じ恩を知る人、もう一人は恩を施す人である」と説かれていますように、自分の親・先祖や常日頃お世話になっている人々の恩を想い、できるだけ仔細に思い起こして知ることです。そしてその恩に報いる善行が大切です。それには人を生かし、ものを活かすことであり、ひいては社会の向上に貢献することになります。

澆季(ぎょうき)混迷する現代であるからこそ、親・先祖が伝えてくれている真心を受け継いで行きたいものです。

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大本山總持寺二祖峨山禅師六百五十回大遠忌参拝

【参拝日程】2泊3日 6月13日(土)~15日(月)

13日
・洞源院
・海ほたる(昼食)
・川崎大師(参拝)
・總持寺(宿泊)
14日
・江戸東京博物館
・柴又帝釈天(昼食・参拝)
・寅さん記念館(見学)
・伊香保温泉(ひびき野宿泊)
15日
・伊香保温泉石段(見学)
・水沢観音(参拝)
・中禅寺湖(昼食)

【会費(お一人様)53,000円(供養料別途)】
※5月16日迄お申込み下さい。



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裏山の防災工事着工

東日本大震災で洞源院の裏山が地割れして、山崩れの危険がありました。石巻市指定避難所になっており、皆様に署名をお願いしまして「山崩れ防災工事の嘆願書」を提出していました。お陰様でようやく工事が始まりました。

施工業者・遠藤興業(株)
期間・平成27年5月~

工事期間中は工事車両等の出入りが多く、檀家の皆様には大変ご迷惑をおかけすることになります。ご理解とご協力の程よろしくお願い申し上げます。
写真手前側から本堂裏手までの危険な斜面の土砂を取り除きます。

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東日本大震災追悼供養

震災から4年を迎えた3月11日は寒い朝になりました。各被災地では犠牲者の鎮魂を願い追悼供養が行われました。 洞源院でも遺族のみならず約200名の方々が参加して午後2時半から慰霊法要が本堂で行われました。住職は震災で亡くなられた方々を俗名で読み上げられたので、遺族の一人は、「まさかお父さんの名前を聞くとは思ってもいなかったので、聞いた時は本当に有り難く感慨無量でした」とお礼を言われたそうです。また、全員が渡波から石巻までが一望できる本堂前の境内に出て、海に向かって合掌し御霊の安らかならん事をお祈りしました。

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宗務所長就任を祝し

護持会々長 佐々木 力

前号でお知らせしましたが、洞源院住職が、曹洞宗宮城県宗務所の所長に就任されました。

ご存知のとおり、曹洞宗は父の如くの永平寺と母の如き總持寺の両大本山がありますが、県内の463ケ寺からのご推挙により選任され、その総括をされる大変なお役目であり大変名誉なことでもあり檀家としても大変喜ばしいことであります。

お聞きしますと、石巻地区からは初の就任であり、正に千載一遇の喜びとするところであります。

この喜びを臨時役員会を開き全役員に報告しましたところ、護持会としてご住職にお祝いの気持ちとして、法衣を贈呈する事が満場一致で決まりました。

今後、県内はもとより、各寺院の主要行事に参加する機会が増えますが、ご住職には健康専一に4年間の就任期間を全うしていただきますよう洞源院檀家皆様と共にお祈りしております。

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皆で写経(仏の教えを聞く会)

お釈迦さまが入滅したとされる2月15日、お涅槃会の法要が檀家や一般の方など40名程参加して本堂で行われました。

法要後、全員が会館に移り、写経をしました。初めにご住職から写経について説明があり、書き始めると皆が夢中になってお手本の上に載せた写経用の薄い紙に一心不乱に筆ペンを走らせていました。写経の後は皆でお茶会をして写経の話で盛り上がり、大変好評でした。機会があったらまた参加したいと言う人が多かったようです。

写経、写仏会はこれからも実施いたします。ご興味のある方はお寺までご連絡下さい。

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羅漢さま

正確には阿羅漢(あらかん)と言ってインドの言葉です。訳して「応供」(おうぐ・供養を受けるに相応しい人)といいます。

元来お釈迦様の別名でしたが仏教が盛んになると仏弟子の最高の位を総称するようになりました。これを「阿羅漢果」といって「無学位」(もはや学ぶべきもののない位)と称し、最高のさとりを体得した人を阿羅漢と尊称したのです。

その最初の羅漢がお釈迦様の最初の弟子憍陳如など五人の比丘でした。それから仏弟子が増えて羅漢の数も増えていきます。その中でも勝れた弟子を選んで十六羅漢が誕生しました。

今日伝えられている十六羅漢の登場は三世紀頃、スリランカの慶友尊者が著した『法住記』に十六羅漢の名と住所及び功徳利益などを明らかにしています。


第一 賓頭羅跋羅堕闍(びんどらばらだしゃ)尊者
第二 迦諾迦伐蹉(かだかばしゃ)尊者
第三 迦諾跋釐堕闍(かだばりだしゃ)尊者
第四 蘇賓陀(そひんだ)尊者
第五 諾距羅(だこら)尊者
第六 跋陀羅(ばつだら)尊者
第七 迦理迦(かりが)尊者
第八 伐闍羅弗多羅(ばしゃらほつたら)尊者
第九 戎博迦(じゅうばが)尊者
第十 半託迦(はんだが)尊者
第十一 羅怙羅(らごら)尊者
第十二 那伽犀那(なぎゃさいな)尊者
第十三 因掲陀(いんかだ)尊者
第十四 伐那波斯(ばつなはし)尊者
第十五 阿氏多(あしだ)尊者
第十六 住荼半諾迦(じゅうだはんだが)尊者


以上の十六羅漢はそれぞれの場所に住いしてそれぞれの羅漢に五百、千以上の弟子を有しているとされます。

お釈迦様が涅槃に入られるときに、これら十六人の羅漢を呼んで、「私の悟った正法をお前達に委ねる。私が亡くなって次の弥勒仏が現れるまでの五十六億七千万年の間、この正法を以って衆生を利益しなさい」と申されたといいます。何故ならば、これらの羅漢は三明(自他の過去現在が分かり、煩悩を断ずる能力)、六通(三明のほかに遠くの音を聞き、他人の心が分かり、早く走る能力)、八解脱(外界にとらわれて起こる貪欲煩悩を滅した八種の精神状態)という神通力を具えていたからです。

羅漢さまはこのように、自己の修行を完成した上に、三明六通という神通力を具えており、お釈迦様からいつまでもこの世に在って、仏の正法を断絶させることなく護持せよと命ぜられていたといわれています。

だからこの十六羅漢はいつでもこの世に存在しているというのです。そして仏法が衰えたときには、直ちにその場に赴いてこれを復興させてきたから今日まで仏法が伝わったというのです。そして羅漢供養の法会には必ず姿を現して供養に応ずるといいます。その功徳は仏法興隆のご利益と人々に福田(福が実る田)のご利益、そして信じる者を守護して除災のご利益を与えてくれるといいます。

また、
第十七 摩訶迦葉(まかかしょう)尊者
第十八 君屠鉢漢(くんどばかん)尊者
が中国から伝承され、当山では本堂内陣のご本尊様の前に十八羅漢さまが鎮座しています。





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日常の仏教語「玄関」

私達が毎日何気なく使っている「玄関」この言葉の本来の意味をご存知ですか。

玄関とは禅宗の教えからきた言葉で、悟りの道への入り口を意味しています。つまり、玄関はそこから一歩中へ入れば「幽玄な悟りの世界に入る関門」ということで禅寺の門を玄関というようになり、その言葉が広がり一般の家に取り入れられました。

このような意味合いから玄関はその人の家の世界に入る入り口で家の顔とも言われています。ですから訪問先の玄関に入るにはそれなりのマナーが必要です。

先ず、玄関に入る前に、外で外套等を脱ぎましょう。外のほこりを持ち込まないという気遣いが必要です。また、雨の日は傘を中に持ち込まないのがマナーです。

玄関口では簡単な挨拶にして、案内された部屋で改めて挨拶します。

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活動報告(平成27年1月~4月)

元日~3日 三朝祈祷会
1月18日 大般若祈祷会
2月15日 お涅槃会 仏の教えを聞く会
3月11日 東日本大震災合同供養
3月18日~22日 春彼岸供養
3月22日 十一面観音永代供養及び愛々動物供養
3月27日 カリフォルニア大学留学生研修
4月11日 浜供養(山元町)
4月16日 中国密教訪日団来院

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行事予定(平成27年5月~7月)

5月12日 花まつり 仏の教えを聞く会 佐久間順平&李政美演奏と歌声 午前10時~
5月16日 護持会総会 午後2時~
5月23日 東北大学留学生研修 12時~
6月13~15日 大本山總持寺参拝
6月17日 梅花講特別講習会(洞源院会場) 午前9時~
7月11日 東北大学留学生研修 

行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。
今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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中国密教訪日団ご来院

4月16日に吉祥精舎ご住職はじめ総員26人が洞源院に訪れ、大震災物故者の慰霊をしていただきました。

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石巻ひがし保育園入園式

好天に恵まれた4月4日に25人の新入園児を含む85人の2年目の保育がスタートしました。 初めは緊張していた新入園児もお兄ちゃんお姉ちゃん達と一緒になって元気な歓声を上げていました。

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全天候型香炉台設置

本堂前と十一面観音様前に、お参り香炉を用意しました。ご自由にご焼香してお参り下さい。



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花まつり 仏の教えを聞く会ご案内

お釈迦様の誕生日(4月8日)を祝うまつりです。洞源院では花の咲き誇る5月を待って、お祝いいたします。

今年は5月12日(火)に演奏家の佐久間順平さんと歌手の李政美(イ・ジョンミ)さんをお招きしてライブを開催いたします。石巻ひがし保育園の園児も参加します。お誘い合わせの上ご参加いただきますようご案内申し上げます。



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編集後記

東日本大震災から4年が過ぎました。3月11日は低気圧が急速に発達して全国的に風が強くなり、震災当時のように雪がちらつく寒い朝になりました。「震災の時も雪がちらついて寒かったよな」と思いだした人も多かったのではないかと思います。災害復興はまだまだ道半ばで、災害公営住宅や防災集団移転促進事業の遅れ、沿岸部の人口減少、風評被害など課題がいっぱいあります。洞源院では裏山の防災工事がようやく始まりました。

寺報「なむ」は今回で20号を数えました。平成20年から始まって、東日本大震災での中断はありましたが7年になります。皆様のご協力に大変感謝申し上げます。これからも広報部一同頑張りますので宜しくお願い致します。

後藤和男

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おしらせ

「なむ」への情報及び手記等がございましたら広報部(洞源院内)にお寄せ下さい。

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