洞源院寺報なむ

第19号(平成27年1月1日発行)

世相裁断

住職 小野﨑秀通

中国唐代の詩人、杜甫の詩に「曲江」というのがある。その中に「人生七十年古来希なり」と「古希」の原典が出てきます。

詩の内容は「朝廷に仕え、終わって戻ってくると毎日のように春着を質に入れ、曲江のほとりで酔いしれて帰るのである。この人生、70まで長生きすることは滅多にないのだから、今のうちに精々楽しんでおきたいのだ。」と、1200年以上前の話。

日本人の平均寿命は40才代の時代ですから、いかに長寿で希であったかが容易に理解できます。つい6~70年前の日本人の寿命は精々50才ほどでした。それが今、男子80才、女子87才まで平均寿命が延び、100才以上の老人が5万数千人になったと報じられています。

そもそも平均寿命とは、現在の0才児が平均して何才まで生きるかを国民の統計に基づいて作られた「生命表」によって予測した数値です。平均寿命=元気で長生き年数ではありません。

一方、WHOでは「健康寿命」を定めています。これは日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる期間です。

2012年の厚生労働省の健康報告書によると、日本人の健康寿命は男子70.42才、女子73.62才で、全体で72才です。そうすると12~13年が要介護年齢となります。ちなみに100才以上の超高齢者のうち寝たきりは、米国で34%、日本で63%と健康寿命に大きな差があります。これはいったい何を物語っているのでしょうか。日米間では、生活水準や習慣が根本から違うのはもちろんです。が、米国人は個人主義が確立し、自立精神、フロンティア精神が刷り込まれ、生き方が悠然と大陸的なのかも知れません。日本人は米国人とは対照的で、自立心も弱く、他人を気にしたり、武士道も失せ、死生観に欠けた歪んだ和の精神になっているように感じるのは私一人だけでしょうか。幾つになっても、凛として敢然たる気概で生きる気迫を持ちたいものです。

最近気になることで、宗教儀式もせず、家族葬などと称し、家の宗教宗派が何かも知らないまま即火葬することもあるようです。これまで続いた檀家・檀信徒としてあまりに死者への冷遇措置で、冒涜ではないかとさえ思います。死者が生前信心深い家庭なら尚更のことです。

同じ核家族でも、親から子へ、子から孫へときちんと受け継がれた家族はこうはならないと思います。無宗教で葬儀をしないなど、生前の親の「いのち」を含めた死生教育が足らなかったと考えざるを得ません。

宗教的死生観は、地球上どこへ行っても、いつの時代でも普遍的なのです。だから千年以上経っても、その教義教典は色褪せることなく輝きつづけ、人を深く感動させ、帰依させ、現在にも伝播し、信仰され続けているのです。

日本人の死生観とは、①老人を含めた長老を尊敬する②死を潔しとし、死ぬべき時が来たなら死を恐れず死を受け入れる③先祖が亡くなっても、いつも傍らにいるという安心感④死者への尊厳感や近親感を抱いている―という事でしょう。

現代社会は経済優先の都市型社社会へと変貌した結果、人間同士の絆も、つながりもない孤立した生活によって、宗教観や倫理観が薄れ、相互扶助の精神のない無縁社会、孤独死といった非人間的な社会へと変わり、その結果、悲惨で、凄惨な非人間的な事件が連日のように起こっています。

人間の諸悪の根源は、自己中心的欲望にあるといわれています。誰の心の中にも、自己中心的な〝自利の心〟と、他人のために尽くす行為を発揮する〝利他の心〟とが同居しています。しかも常に優先しようとするのが自利の心です。それでも人間には仏心が備わっており、より善く生きたいとの願望を併せ持っています。「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」と仏教で説かれて来たように、日本人のDNAの中に、慈悲心や和の心が日本精神として間違いなく刷り込まれているのです。死生観を深め、日本の精神文化をしっかりと身につけるためにも、寺の行事や奉仕に積極的にご参加して下さい。優れた精神文化を発信し続けるために。

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敬老の集い

9月6日「第6回敬老の集い」が洞源院本堂にて開催されました。例年以上の参加があり、実行委員一同心より感謝申し上げます。

石巻ひがし保育園児の特別参加があり可愛い姿に目を細め、石巻ハーモニカクラブによる演奏に聴きほれていました。

昼食は名古屋のボランティアから送られた「うどん」と叢林舎の皆様の手料理を味わい、午後は、仙台から参加のチンドン「雅組」による歌やトークを楽しみ、中でも「貫一お宮」の一人芝居は、皆さん抱腹絶倒の連続で時は瞬く間に過ぎ会場から大きな温かい拍手が送られました。

「笑門来福」この様な笑いのある催しが必要かと思います。

皆様健康に留意し9月の「敬老の集い」に是非御参加下さいます様お待ち申し上げます。

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石巻ひがし保育園「海のなかまの運動会」

秋晴れに恵まれた9月13日石巻ひがし保育園にて運動会が開催されました。クラス毎に徒競走、障害物競争、リレーと皆元気よくがんばり0歳児もハイハイ競争での仲間入りでした。

保護者の玉入れや綱引き等も行われました。

僅かの期間でどの種目も練習の成果が見えて、とりわけ鼓笛隊の演技は4~5歳児とは思えない堂々とした行進に場内は一段と拍手が大きくなりました。

園内での生活一般、教育面において先生方の一貫したご指導の賜と推察申し上げる次第です。
大変楽しい運動会を参観させて頂きました。
園児の皆様の健やかな成長を心より祈念申し上げます。

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春彼岸供養のご案内

18日 9時・11時・13時
19日 9時・11時
20日 9時・11時
21日 9時・11時・13時
永代供養・動物供養 22日 13時半

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仏前結婚式

11月23日、洞源院にて仏前結婚式が行われました。新郎は石巻の阿部慎太郎さん、新婦はご住職の二女、静香さんです。

本堂に両家の親族や関係者が揃い、ご住職に浄めを受け、寿珠授与、指輪交換そして誓約文を読み拇印を押します。交盃、おさとしと続き、参列者全員で般若心経を唱えお2人の幸せを念じました。

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大般若祈祷会のご案内

1月18日(日曜日)
・設斉(食事) 10時半~11時15分
・お楽しみ会 チンドン「雅組」11時15分~12時15分 
・祈祷法要 12時半~13時半

洞源院では、950年来のご本尊観音菩薩の初縁日に、守り本尊と八大竜王神をご開帳し、ご祈祷がなされます。今から250年前より伝えられる大般若経六百巻を二十余名の僧によって転読(沢山の数のお経をパラパラとめくり読む)、仏智慧の威神力を得て祈祷されます。

家内安全・病気平癒・身体健全・子孫長久・家業成就・商売繁盛・除厄招福・良縁結成・家門繁栄・工事安全・福寿長命・交通安全・海上安全・大漁満足・安産祈願・合格祈願・学業成就・心願成就 それぞれ願意を選び所定の用紙にてお申し込み下さい。

どなたでもご祈祷を受ける事ができます。お誘い合わせてお参り下さい。お待ちしています。

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八幡大菩薩

当山の八幡大菩薩は開基八幡太郎源義家公の一代神を祀ったものです。

義家公が13歳のとき、京都石清水(いわしみず)八幡宮において元服されたことから八幡太郎と称し、ご自身の一代神としたといわれています。

この祭神の八幡神は、応神天皇とされ、朝廷の信仰を集めていましたが、源義家、頼朝公が熱心に信仰したことをきっかけに、武士の守護神として広く信仰されるようになりました。このような八幡信仰は仏教と習合して「八幡大菩薩」の称号が与えられるようになり「南無八幡大菩薩」と唱えられるようになりました。

義家公は副将軍として父頼義公に従い多賀城に陸奥国府の任に当たりました。しかし、安倍貞任の乱により、前9年の役となり、その康平4年(1061年)に牡鹿の陣中とした山居にお堂を建て、聖観世音菩薩の守り本尊と一代神の八幡大菩薩を安置して、武運長久を祈願したのが洞源院の発祥です。山居の北峰を見張り山として以来、八幡公峰(はちまんこうみね)と今日も呼ばれています。

日本は神仏習合により、み仏や菩薩がそのままの姿で現されず、わざと人の姿などをとって、人々の救済のために現れる姿にしました。これを「権現」と呼び、わが国の神々は、み仏や菩薩を示現する権現となりました。「秋葉権現」「蔵王権現」徳川家康の「東照大権現」などが良く知られていますが「八幡大菩薩」も権現された姿です。

もっとも、1300年以上続いてきた神仏習合は明治政府によって神仏分離の政策が進められ、権現というのもなくなってしまいました。かつて権現さまを祀っていた神社に行ってみても「祭神は○○○」とあまりオナジミではない神様の名前が記されているので戸惑うばかりです。

右:洞源院所蔵の版木/戦時中出征兵士のお守りとされました

護持会研修旅行 大本山総持寺二祖峨山禅師 六百五十回大遠忌参拝

13日 総持寺宿泊 翌朝の大遠忌導師を洞源院の住職が勤めます。
14日 伊香保温泉宿泊

総持寺
瑩山禅師によって開創され、明治44年に石川県能登から国際禅堂になることを願い、横浜市に移設されました。
二祖峨山禅師
二十五哲(二十五人の弟子)を育て日本全国に曹洞宗の教えを広められました。
日程(全行程バス)
6月13日(土)~15日(月)
参加費53,000円(供養料等は別途)
3月31日締切りとします。
お申し込みは直接お寺まで。

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日常の仏教語「果報は寝て待て?」

さて、年末宝くじを買った皆様、結果はどうでしたか?
買ったくじを神棚に上げて「当りますように!」と手を合わせ、後は果報は寝て待て・・
良いことは自然にやってくるという使われ方をする「果報は寝て待て」という諺。
「果報」とは仏教用語で、過去の行いの善悪に対して必ずそれに応じた結果があるという意味、即ち「因果応報」ということです。だから過去に善いことをすれば良い結果が出るということです。

しかし、本来は「果報は練って待て」ということで、努力なくして良い結果は得られないという意味の言葉なのです。

「一年の計は元旦にあり」と申します。次の果報がやってくることをひたすら信じて、日常生活の中で、そう、家庭の中や職場、あるいは地域の中で小さな善いことを積み重ねて、心おだやかに暮らしていくことにし果報を待ってみませんか。

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活動報告(平成26年8月~12月)

8月4日~6日 関東子供豆記者来院研修
8月9日 お盆の清掃奉仕
8月13日~15日 お盆供養
8月17日 山門お施餓鬼会
8月29日~30日 石巻ひがし保育園々児 洞源院でお泊り保育
9月6日 敬老の集い
9月14日・10月19日 浜供養
9月22日 秋彼岸 十一面観音永代供養及び愛々動物供養
10月11日 寺子屋寄席
12月7日 成道会 仏の教えを聞く会
12月12日 護持会役員会
12月14日 年末清掃奉仕
12月31日 除夜の鐘 お焚き上げ(塔婆・位牌等)

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行事予定(平成27年1月~5月)

元日~3日 三朝祈祷会 
1月18日 大般若祈祷会 午前10時半~
2月15日 おねはん会 仏の教えを聞く会 午後1時半~
3月11日 東日本大震災合同供養 午後2時半~
3月18日~22日 春彼岸供養 
3月22日 十一面観音永代供養及び愛々動物供養 午後1時半~
4月11日 浜供養 
5月8日 花まつり 仏の教えを聞く会 午前10時~
5月16日 護持会総会 午後2時~

行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。
今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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菊花展

「石巻市議会議長賞受賞」護持会会長 佐々木力氏の作品

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日本商業写真家協会 スクールアルバムコンテスト幼稚園の部 大賞受賞

檀家の遠藤フォト(向陽町)を経営する遠藤浩信さんが2回目の大賞を受賞しました。
今回は全国から応募された約9,000点の中での受賞となりました。おめでとうございます。
遠藤さんには、洞源院の絵葉書や寺報の写真を提供していただいております。

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江戸彼岸桜の苗寄贈

 大本山永平寺 大本山総持寺 東日本大震災による甚大な被害に対し両大本山より「江戸彼岸桜」の苗が寄贈されました。

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お知らせとお願い

私こと

この度、曹洞宗宮城県宗務所に所長として12月10日から4年間の任期で就任しました。

県下464ヶ寺の総括としてお世話をすることとなり、山内を留守にすることが多く、ご迷惑をお掛けしますが、宜しくご協力下さいますようお願いし、ご報告申し上げます。

住職 合掌

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編集後記

「いしのまき大漁まつり」は震災後サンファンパークなどを仮の会場とし開催されていましたが、昨年は元の石巻魚市場を会場に開催されました。また、災害復興住宅の建設、漁港の復旧工事など遅れてはいますが着実に復興が進んでいます。 広報部及び檀家の皆様には師走のお忙しい中、寺報「なむ」の編集にご協力いただきまして誠にありがとうございます。

本年も皆様に親しまれる寺報を目指し頑張りますのでよろしくお願いいたします。

後藤和男

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おしらせ

「なむ」への情報及び手記等がございましたら広報部(洞源院内)にお寄せ下さい。

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