洞源院寺報なむ

第17号(平成26年5月1日発行)

中国仏教祖跡を訪ねて

住職 小野﨑秀通

今年3月25日~29日4泊5日で、仏教学者何燕生先生の案内で、禅宗の祖跡五ヶ寺をめぐり拝登して来ました。参加メンバーは私が会長を務める清風の会11名が参加しての旅です。

初日は成田8時55分発上海行き、国内線に乗換え湖北省武漢市まで2000km、さらにバスで随州市まで2時間半、中国時間で午後8時半にホテルに到着。

遅い時間にも拘らず、随州市長や要人の方々による晩餐会で歓迎を受けました。これは何先生のご配慮のお陰によるものです。

1年前に何先生を通じて駒沢大学石井修道先生等と5名が招待を受け、祖跡寺院大洪山慈恩寺の復興視察をさせて頂きました。こうしたご縁でこの度も市長や寺院関係者が快く歓迎してくれたのです。

さて、私はお釈迦様の弟子から弟子へと受け継ぎ、79代目の弟子となります。その系統は禅宗曹洞宗で、28代目の菩提達磨(達磨さん)がインドから中国に伝え、日本の道元禅師が中国に渡り、天童如淨禅師から伝法して51代目として日本に伝え、永平寺を開かれました。この系列の45代目が芙蓉道階禅師という高僧で、その住職された寺が、今回尋ねた大洪山慈恩寺です。

中国は文化大革命以来大洪山慈恩寺のみならず廃仏運動が起こり、中国の寺院の多くは崩廃してしまいました。日本での明治の廃仏毀釈に類似した出来事です。しかし、鄧小平の改革開放により仏教が再起し、経済発展に伴い各地で寺院が再興され、仏教の活動も活発となって来ています。

翌朝、再興された大洪山慈恩寺を拝登しました。芙蓉道階禅師の住職時代はすこぶる枯淡で1日に粥一椀づつ、それでも足りないときは水を足した米湯のみであった言います。それにも拘わらず、曹洞宗の宗旨が大いに繁栄したので、中国では芙蓉道階禅師が曹洞宗中興の祖として崇められています。

さらに500kmバスで移動し、黄梅県の四祖寺、五祖寺、老祖寺と巡拝し、武漢市の帰元寺を参拝して、29日上海より午後8時半帰国、息つく間もなく夜行バスで帰宅することができました。

四祖寺は三十一代大医道信禅師、五祖寺は大満弘忍禅師の祖師方の寺で、老祖寺、帰元寺もそれぞれ1200年以上前から続く仏法伝燈の由緒ある古刹です。



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慈恩寺秘仏御開帳参拝へのお誘い

慈恩寺は、山形県寒河江市にあり、天平18年(746)に聖武天皇の勅命により、インドの僧バラモンが開基したと伝わる古い歴史を持つ寺院です。

江戸時代には幕府からご朱印を受け、東北随一の巨刹として栄えました。平安末期から鎌倉中期にかけての仏像等は、京都の貴族文化の流れを汲み、平泉中尊寺に匹敵し、我が国の仏教美術の至宝として重要文化財の指定を受けています。

この度、今世紀初の秘仏御開帳がなされます。この滅多にない機会に、震災後中断していた護持会研修旅行を再開することに致しましたので、ご案内申し上げます。

どなたでも参加できますので、お寺まで申込み下さい。
期日……6月24日(火曜日)
定員……20名
参加費…3,500円

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石巻ひがし保育園見学会

建設に当たり多くの方々にご支援していただいた待望の園舎が完成しました。

落慶式当日は混雑が予想されるため、先がけて護持会役員、梅花講員の方々の見学会が行われました。その席上、護持会からAED(救急救命用具)、梅花講から釈迦如来像の寄贈、また小野崎美紀さんからは詩集「あったかい手」の売上金の贈呈式が行われました。



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落慶式

3月16日、笹野石巻副市長、をはじめ多くの関係者支援者のご臨席のもと落慶式(開園)が執り行われました。 理事長でもあるご住職による落慶法要に続き来賓の祝辞等がありました。

入園する子供達が先生の弾くピアノに合わせ元気よく歌を披露すると、ご住職が期待(もう一度元気な子供の声が聞こえる町にしようと)した通り子供達によって発せられるパワーに導かれ会場全体が笑い声と明るい雰囲気に包まれました。

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入園式

4月5日、子どもたちは可愛く着飾り、保護者はわが子の晴れ姿についつい笑顔がほころびました。
初年度は66名が入園しました。


0歳児「かに組」6名
1歳児「かめ組」13名
2歳児「らっこ組」11名
3歳児「ぺんぎん組」18名
4歳児「いるか組」11名
5歳児「くじら組」8名

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一葉「ご縁」

日野 正美

塩竈生まれ、塩竈育ちの私が、渡波の洞源院にお世話になることになったのを振り返ってみると縁とはつくづく不思議なものだと思います。副住職と同い年の倅が高校受験時に、S講師の下で洞源院にて一緒に受験勉強をすることになったのが出会いのきっかけでした。S講師から洞源院での倅の様子を知らせて頂いた折、ご住職のお人柄やご活躍の様子なども伺っておりました。

蛇田に家を建て、石巻霊園にお墓を作ったこともあり、長年塩竈のお寺に預けていた父の遺骨を移すことになりました。その際、菩提寺をどこにしようかと悩んでおりましたが、倅を通してご住職とお話をする機会を得、人として生きる姿勢、施しの教え、途上国での学校建設活動や「ちえぶくろの会」の取組みなどを耳目して「ファン」になりました。そのようなご縁のなかで、洞源院にお世話になることとなったのです。

折にふれ、ご住職の深い教えを拝聴する度、また震災時の被災者支援、そして保育園開園と、そのご尽力に感嘆すると同時に尊敬の思いをますます強くしております。私も、今後、護持会役員としても微力ですがお手伝いができればと考えております。

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招宝七郎大権修理菩薩

本尊の東側を土地壇といい、境内地と伽藍を守護する神を祀っています。当院では他の曹洞宗の寺院と同じく、右手を額にかざし遠くを見ている坐像の姿をした木像、招宝七郎大権修理菩薩(しょうほうしちろうだいげんしゅりぼさつ)が祀られています。

これは元、中国浙江省の寧波府定海県にあった招宝山の山神で、七郎権現というもので、同地は海を臨む山であり、外国の船が出入りし、財貨や宝物を運ぶことから、招宝山と付いたといい、航海の安全を願って山神が祀られたと考えられています。

道元禅師が宝慶3年(1227)に如淨禅師から正法を得て帰国する際に、正法護持のため、一人の化身が現れて道元禅師に従いたいとした。よって道元禅師は身体を小さくして同行するように求めると、三寸余りの白蛇になって、応量器(食器の鉢)の中に身を入れて共に日本に来たといいます。 また道元禅師が帰国するに当って『碧巌録』(へきがんろく)を書写しようとすると、この大権修理菩薩が現れて手助けしたといいます。これを『一夜碧巌)』といいます。現在金沢市博物館に国宝として保存されています。(ある説には助筆は白山妙理大権現との説もあります。) 当院では、仏法のご利益(りやく)と共に招宝七郎大権修理菩薩によるご守護を沢山いただいて仏法興隆発展をしています。 「信は道の元なり、功徳の母也」というように信心することで、沢山のご利益に預かることができると存じます。諸仏諸菩薩を敬い信じ、信仰ある感謝の生活を忘れないようにしたいものです。



一夜碧巌

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東日本大震災追悼供養

震災から3回目の3月11日を迎え、御霊の安らかならん事を念じ各地で追悼供養が行われました。洞源院でも午後2時より本堂に於いて遺族のみならず多くの方々、約200名の人が参加して慰霊法要が行われました。

それから本堂前の境内で全員が集まり海岸の方に向かい、津波の時刻に合わせて合掌し、追悼供養が行われました。これからも毎年震災当日の3月11日には慰霊法要を行ってまいります。檀家以外の方でも自由に参加できますので、できるだけ多くの方々に参加して頂きたいと思います。

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日常の仏教語「あばた」

「あばたもえくぼ」これは、皆さんが多く使われる言葉です。愛する人であれば、みにくいあばたも、えくぼのように見えてしまうのですね。

「あばた」これはインドの言葉のアルブタが語源で、腫れものとか水泡を表します。仏教で説く発寒地獄の一つに、阿浮陀(あぶた)地獄があり、口の四悪業を犯した者、たとえば嘘をついたり、悪口を言ったり、聖者を軽蔑する言葉を吐いたりした者が落ちる地獄です。この地獄に落ちると、極寒にさらされるため、身体中に腫れものができ、そのために、大変苦しむといわれている。現代ではこの阿浮陀が「あばた」となり、天然痘などのあとの意味として用いられるようになりました。

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石巻ひがし保育園の歌

園の歌ができ園児達が元気に歌っています。

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活動報告(平成26年5月~7月)

元日~3日 三朝祈祷会
1月18日 大般若祈祷会 午前10時~

高橋佳生さん・庄子眞理子さんによる清興


2月15日 おねはん会・仏の教えを聞く会 午後1時半~
3月11日 東日本大震災合同供養 午後2時~
3月16日 石巻ひがし保育園落慶式 午後1時半~
3月18日~21日 彼岸供養 
3月21日 十一面観音彼岸会永代供養愛々動物供養 午後1時半~
3月27日 カリフォルニア大学大学院生 午前10時~

被災地研修に訪れ坐禅体験


4月13日 東日本大震災浜供養巡礼 午後1時~

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行事予定(平成26年8月~12月)

5月9日 護持会役員総会 午後2時~
5月17日 東北大学留学生研修 10時~
5月18日 花まつり・ 仏の教えを聞く会 午後1時半~
6月24日 山形県慈恩寺参拝 7時~
6月25日 曹洞宗全国宗務所々長会(洞源院会場) 10時~
7月3日 本山特派布教・(洞源院会場) 9時~
7月5日 東北大学留学生研修 12時~

行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。
今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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清掃奉仕

有志により、お寺は常にきれいに保たれております。
いつもご奉仕ありがとうございます。

広い境内ですので、草取り、落ち葉拾い等、清掃奉仕にご参加いただける方大歓迎です。



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編集後記

東日本大震災から三年が経ちました。時間は確実に進んでいますが、高台移転の造成工事及び防潮堤や岸壁の工事などが計画通りにはいかず、復興は遅れているのが現実です。新聞やテレビでも震災関連のニュースが毎日のようにあります。そんな中で、石巻ひがし保育園が開園するなど明るいニュースもあります。

「なむ」を編集するにあたって、震災で大変つらい思いをされている方が大勢いるので、震災関連の記事はもう載せなくてもいいのではないかと悩みました。できるだけ地域に密着した明るい記事を載せたいと心がけています。皆さまからのご意見や情報、記事がありましたら広報部に連絡をして下さい。よろしくお願い致します。

後藤和男

題字「なむ」筆書き 日野優心君

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おしらせ

「なむ」への情報及び手記等がございましたら広報部(洞源院内)にお寄せ下さい。

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