洞源院寺報なむ

第27号(平成29年8月1日発行)

人生に『修証義』を その2

住職 小野﨑秀通

私たちの心のはたらきによる全ての行為を仏教では「業(ごう)」といいます。その善悪業の報いは時間的に三段階に現れると言うことです。第一には今生での報い、第二には次の世で受け、第三には更に次の世以後に報いを受けるというのです。 仏教では何を善といい、何を悪というか。一つに「むさぼり」や「いかり」を起こさず「かたよらない、こだわらない、とらわれない、まことの智慧」を得ることで、自分の欲望に振り回されないで、他を助けるために働くことが善業のはたらきと言えましょう。その逆が悪業(不善)です。特に執着によって何事かを為すことは最たる悪業と言えましょう。 自分の欲望を満足させるために執着し、他を困らせるような生き方は悪業です。毎日の生活の中で善業悪業を行っていることになりますが、一日の反省で善業が多かったか、悪業が多かったか、自己判断をしてみてはいかがでしょうか。 また『修証義』には、過去現在未来という変遷のことだけでなく、因と果が三世にわたっているのだということを知らず、「今さえよければよい」という刹那的な生き方をし、自分の欲望のままに生きている生き方を、「三世」を知らない生き方として、それらを邪見と戒め教えて下さっています。 「今の苦しみに耐えられない」と人生をあきらめてしまうことも、三世を知らない生き方と言っても、永遠に続くことはありません。楽しいこともそうですが、苦しいこともすべてが蜃気楼のようなものです。特に苦しい時ほど、自分にそう言い聞かせればよいのではないでしょうか。実はこの身心さえも蜃気楼のようなものですが、身心の自由を目指し、コツコツと生きて行く。どんなに苦しい状態になっても、身心に清風を吹かせるのは自分自身です。 邪見について道元禅師は、「因果の法則を無いものとする」「仏法僧を非難する」「三世とさとりなどを否定する」ことなどを挙げています。ですから、単に「間違った見解」と解釈すべきではありません。 それにしても、自分自身にもいろいろな悪心があります。わが心を掌の上にのせて見れば悪心の方が善心より多いかもしれません。しかし、有難いことに仏道に出会って、この悪心に光を当てることができるようになったことです。 誰にでも悪心があるでしょう。この悪心に光を当てて、悪心のままに生きないように、行動しないように、導いてくれるのが宗教です。「自分さえよければよい」という悪心に、宗教の光を当てて、「共に生きて行く」力としたいものです。

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お盆供養のご案内

お寺でお盆供養を済ませ、お墓参りをしましょう!

8月13日(日)
午前の部 7時・9時・11時
午後の部 1時
14日(月)・15日(火)
午前の部のみ
7時・9時・11時

※お盆供養申込み用紙にご記入の上ご持参下さい。

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山門大施餓鬼のご案内

各家先祖精霊供養
お盆供養とは別にお参り下さい。
8月17日(木) 午前10時30分~
設斉(食事供養)
11時~ 馬頭琴演奏
12時30分~ 大施餓鬼会法要
※お施餓鬼申込用紙にご記入の上ご持参下さい。
 

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洞源院護持会研修旅行 初夏の旅


同慶寺にて

辻 壽一

南相馬日帰り研修旅行に私は初めて参加するに当たり、菩提寺住職から御朱印帳に心印を賜り、護持会の皆様と同行させて頂きました。

住職の「晴れ男」のお陰で天候にも恵まれた一日の始まりでした。車中十分位過ぎた頃、奥様の運転手さんへの心遣いの言葉、総勢三十名の無事を祈り三宝御和讃を唱え、心が一つになって南相馬市の夢海庵美術館、市博物館、同慶寺、岩屋寺と巡りました。

実は、今回の研修旅行はなぜ南相馬なのか?と思っていました。

未曾有という言葉、大震災、巨大地震と大津波、私達は決して屈しないが、私達は日常生活の中で本当に危機意識とは何か?ということを考えさせられます。

今回の研修旅行で人災の恐ろしさを聴講、体感できました事、「感謝」「感謝」でおります。

さて、最初の夢海庵美術館では庵尼様の合掌とお伽の国を想わせる数々の作品やお地蔵さんに迎えられ、私達は庵尼様の講話に魅了され、改めて、天災が人災に発展した当時のお話しを聞き、自分に置き換えて女川原発を重ねて考えてしまい、熱いものを感じました。
次に心に残った事を記したいと思います。

“同慶寺 田中徳雲ご住職の話に涙する”

合掌で迎えられ、本堂にて参拝者一同、三宝御和讃を唱え、合掌礼拝、読経供養。

田中ご住職の講話で同慶寺は福島第一原発から十七㎞、海岸から四㎞に位置し、昨年四月に避難解除されたばかりと聞く。

3・11で被災した折、家族と共に福井県坂井市に避難、その後、福島と福井を百五十回往復しながら、被災者たちと語り合い「福島の今」を全国に発信する活動を続けているとの事でした。

特に忘れてはならないお話がありました。それは、避難指示が解除され戻った時、外見上傷んでいない住宅やお寺の庫裡でも、中は「ネズミ」が何百匹といて、とても人が住める状態ではない事。又、窓が黒く見えているのは「ハエ」の大群だそうです。

何故この現実を報道されないのか・・・? 

どんな天災も復旧、復興はできますが、人災の恐ろしさを痛感した旅でした。
又、千五百年の寺歴、岩屋寺拝観、岩屋寺でも三宝御和讃を唱え、合掌礼拝、読経供養。
星見ご住職の講話、万民の平安を願うのみとの事。そして、奥様の温かなおもてなしに和みました。
“ありがとうございました”


岩屋寺にて

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洞源院震災裏山復旧工事完了

本堂裏にも駐車できます。

半年遅れで完了しました。引き続き、鹿による法面の食害防止のために全長350mに侵入防止柵を檀家有志により設置中です。作業にご協力をお願いいたします。



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お施餓鬼

「このガキが」といたずらな悪行の子供を叱ることがあります。餓鬼とは生前の悪行によって苦しみの亡者の魂や無縁仏となった霊をいい、常に飢えと渇きに苦しんでいる。その飢えと渇きに苦しむ餓鬼に飲食などを供え、法施を加えて、苦を離れて安らかな霊となることを願って行われる法要が施餓鬼会(せがきえ)で、親しみを込めて「お施餓鬼」と呼んでいます。曹洞宗では、施すものと施されるものの間に尊卑貴賤があってはならないことから「施食会(せじきえ)」とも呼んでいます。

お施餓鬼は、一般にはお盆の時期に行われることが多く、洞源院では、お施餓鬼の法要読経に先立ち、精霊への飲食供養と共に参列者にも食事を巡らし、参列者同士の久々の会話の場となり、法話・アトラクションを楽しんで頂いております。

法要は『救抜焔口陀羅尼』というお経に基づき勤められ、餓鬼の罪障を滅し、飢渇を除き、人天や浄土へと往生させる修法です。

その昔、お釈迦様の十大弟子の阿難尊者は「多聞第一」と言ってお釈迦様のお傍に常に控え、教えを一番よく覚えていました。その阿難尊者が坐禅中、焔口という餓鬼が現れて「お前は三日後に死ぬ苦しみに遭うだろう」と言った。驚いた阿難が、どうしたらその苦難を逃れることが出来るかと餓鬼に問うと、「それには我ら餓鬼道の者に飲食を施し、仏法僧の三宝に供養すれば、汝の寿命は延び、我らもまた苦難を脱することができる」と答える。しかしそのような財を持ち合わせない阿難は、お釈迦様に助けを求めた。するとお釈迦様は「観音菩薩の秘呪があって、一椀の食物を供えるだけで、この『加持飲食陀羅尼』を唱えれば、その食べ物は無量の食物となり、すべての餓鬼は満たされ、無量の苦難から救われ、施主は長寿を得、仏道を証得することができる」と言われた。阿難がその通りにすると、延命し救われた。これがお施餓鬼の起源です。心の渇きを潤す大切な法要です。

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東北大留学生 洞源院での学び10年

留学生向け講座「日本の文化」担当講師 設樂宏二

「留学生に、東北沿岸部の暮らしにおける仏教寺院の役割について学ばせたい」

洞源院の門を叩いたのは平成20年の春でした。世界各地から多いときは50名にのぼる留学生に毎年研修を実施していただき、今年で10年を数えます。

ご詠歌でのお出迎え、小野﨑ご住職による講話、檀家の方による石巻とカキ養殖のお話し、そしてさまざまな文化的・宗教的背景をもつ留学生たちへの法話と研究目的達成の祈り。これを日本文化のお土産として、社会的に不安定な国も含め、世界各地に持ち帰っています。

震災後、洞源院が地域住民の拠り所であり続けたことで、研修の核心を再認識することになりました。震災の年は開山950周年の節目。逆境の中、敢えて祝いの行事が繰り広げられた様子は、私のまぶたに焼き付いています。

艱難を乗り越える心意気を共有し、その意思を宣言する場となりました。避難所としての役割を終えて間もない初秋の頃でした。

不安な日々を過ごす中で生まれた、寺族の美紀さんによる詩集『あったかい手』。

闇を潜り抜け、笑い声のこだまする暮らしの再建に向けた思いが貫かれています。この道筋を海外でも知ってもらうことは、日本文化の力強さを示すことにもなるはず。英訳をさせていただくことになり、『Warm Hands』が生まれました。平成25年春に刊行されて以降毎年、講座「日本の文化」で教科書として利用しているほか、留学生向け夏季講座でも活用しています。

『あったかい手』の思いは保育園というかたちで実現しました。担当する留学生たちとともに園児の皆さんの素顔に触れ、地域再建と人づくりへの願いが込められた園歌を歌うことができる喜びを噛みしています。



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新役員紹介

内海道昭(うつみみちあき) 石巻市さくら町

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新曲発表

「澄みわたる空」
作詞・作曲 南こうせつ
梅花流創立六十五周年記念

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第25回寺子屋寄席

「桂米福師匠独演会」
10月14日(土)午後6時半~
木戸銭1000円
公式サイト yonefuku.com

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活動報告(平成29年5月~7月)

渡波駅植栽 5月6日
東北大留学生研修会 5月13日
護持会監査会・総会 5月20日
十三教区寺院総会 5月22日
お泊り保育(合同) 石巻ひがし保育園 石巻たから保育園 5月26~27日
十三教区護持会総会 6月2日
先代住職二十三回忌法要寺族七回忌法要 6月4日
護持会研修旅行 6月17日
本山特派布教(真法寺) 6月29日
ちえぶくろ総会 6月30日
東北大学留学生研修会 7月1日
教区臨時総会 7月18日
鹿対策侵入防止柵作業 7月30日

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行事予定(平成29年8月~12月)

8月6日(日) お盆の清掃奉仕 午前8時~叢林舎総会 午後2時~
8月13日(日)~15日(火) お盆供養
8月17日(木) 山門大施餓鬼会
9月16日(土)午前10時~ 敬老の集い
9月23日(土) 永代供養 午後1時半~ 愛々動物供養 午後2時~
10月5日(木) 宮城梅花大会(仙台サンプラザ)
10月14日(土) 午後6時半~ 寺子屋寄席
11月19日(日) 午後2時~ 「焼け跡から」公演(渡波小体育館)
12月11日(日) 年末清掃奉仕 午前8時半~ 成道会 仏の教えを聞く会 午後1時半~
12月16日(土) 午後2時~ 護持会役員会
12月31日(日) 午後11時半~ お焚き上げ・除夜の鐘2時~

行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。
今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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住所をお知らせ下さい

仮設住宅等から転居された方で、まだお寺に住所変更を届けていない方は、早めに現在の住所及び電話番号をお知らせください。

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編集後記

牡鹿半島の被災した各浜は高台に宅地造成をしてきましたが、遅れていた佐須浜地区も災害復興住宅が完成しました。東日本大震災から六年が過ぎ、何処の浜でも同じですが、新築する人や復興住宅に入居する人が初めに調査した時より減っています。旧市内方面から車で通って浜の仕事をしている漁業者も多くいて、今は工事関係者も多いのですが県道渡波鮎川線は通勤時間帯に渋滞しています。各浜の過疎化は避けられない状況になっています。人が少なくなってきているせいか野生の鹿が増えて洞源院でも境内に花を植えても、お墓に花を供えても鹿に食べられるので防衛策に苦慮しています。

寺報発行にあたり檀家の皆様や広報部の皆様にご協力頂きまして誠にありがとうございました。研修旅行で行った福島県の同慶寺ご住職の話で、これからが自分達の力での復興となりますと言った言葉に感動致しました。

広報部一同頑張ってまいりますのでよろしくお願い致します。

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