洞源院寺報なむ

第18号(平成26年8月1日発行)

威儀(いいぎ)を正す

住職 小野﨑秀通

去る6月、三重県の鳥羽市で永平寺孝順会(布教師会)の東海管区移動総会が開催され出席しました。翌日、地元出身の幹事役に案内され、伊勢神宮を参拝させて頂いた。予め正式参拝には正装でという知らせがあり、僧侶の多くは、着物に僧侶の改良衣姿、あるいは背広にネクタイで臨んだ。

ところがある若い僧が、30度近い気温であったので、半袖シャツにネクタイで参加したところ、内宮の正式参拝を断られた。その若い僧は、ネクタイをしていれば正装したことになると思ったといいます。

しかし、入場係の宮司さんも白装束の正装での応対で、正装の姿を男女であっても厳重に定めて入場の是非をチェックしていたのです。「威儀を正す」といいますが、敬うものに対する時、威儀を正して接することが、日本の伝統であったはずです。ですから、何か正式な儀式に望む時など、これまでは威儀を正す意味で、服装を整えてきました。結婚式、葬儀、法事、宮参り、入学、卒業、入社式など・・・

同じ6月、沖縄戦戦没慰霊式典をTVで見ていたら、安倍首相と閣僚、県知事さん方が弔辞を述べている光景が映し出されました。
沖縄も暑い地方ですので、参列者も様々な服装で臨んでいました。当然ながら背広にネクタイの方もありましたが、首相、閣僚は開襟の黒い長袖シャツ姿で、背広もネクタイもありませんでした。沖縄戦で国家の柱となって戦死して逝った方々への慰霊式典に国家国民の代表者は、「威儀を正す」正装でなくてよいのかという疑問が起こりました。

もし、開襟の長袖を正装だとするなら、国民の合意が必要ではないでしょうか。

神仏を敬う、先祖を敬う、目上を敬う、相手を敬うという秩序がなくなったなら人間社会が乱れ、弱肉強食の自己中心主義がはびこる社会を増長するのではないかと危惧いたします。威儀を正す姿は、敬う姿であり、感謝する心の表れでもあります。

今年もお盆様を迎える日となりました。伊勢神宮は天皇家のご先祖さまでもあります。我等もご先祖様に感謝を込めてお迎えし、喜んでお帰り頂けるよう敬い祀りたいものです。

また、伊勢神宮の神楽殿で国家安泰を祈願いたしましたが、神前にお供えした神饌(お供え物)が下げられ、持ち帰ることになりました。その神饌を調理してお神酒と共に頂くことを直会(なおらい)というそうです。直会は精進落しと思っていましたが、神への供え物・お神酒などを下げていただく宴会であったということが改めて知ることができました。

昔は人様からの戴き物や初物はお仏壇のご先祖様へお供えしてから御裾分けしていただきましたが、敬うものへの心遣いをする生活がいつの時代にも大事なことだと思います。

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お盆供養のご案内

本年もお盆の供養は、お寺でお勤めいたします。
8月13日(水)
 午前の部 7時・9時・11時
 午後の部 4時・5時
14日(木)・15日(金)
 午前の部のみ 7時・9時・11時
*青色の供養申込み用紙にご記入の上ご持参下さい。

山門大施餓鬼のご案内

各家先祖精霊供養です。お盆供養とは別にご参加下さい。
8月17日(日)
午前10時30分~ 設斉(食事供養)
11時30分~ 法話
12時30分~ 大施餓鬼会法要
*白色の申込用紙にご記入の上ご持参下さい。

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洞源院護持会研修旅行記

相澤 慧

私共は本年4月末、洞源院の檀家に入れて頂きました。

全てが初めての経験なので大変勉強になりました。

早朝、洞源院からバスで山形県寒河江市の慈恩寺に向かい出発。方丈様から研修旅行の意義について丁寧な説明があり、これからの旅の楽しみが膨らみました。道中、南こうせつさんの「まごころに生きる」と奥様の「空と海の彼方へ」の2曲を奥様の指導で合唱。

山形県は暑い所と聞いていましたが、慈恩寺に着いてみて一安心。梅雨の晴れ間の緑がとても爽やかで、気温も上がらず快適。さすが、東北随一の巨刹として栄えた往時を偲ばせる本堂(重文)や三重塔などの数々のお堂。幾度かの火災から救われた弥勒菩薩坐像(重文)など由緒深い三十数体の秘仏を拝顔いたし、特に今回は今世紀初めてのご開帳ということで唯々感激の気持ちでいっぱいになりました。

昼食は出羽屋さんのハット付き山菜そば。皆さん初めてで、店の方から食べ方の説明を聞き、いただきましたが説明が行き届かず?「とろろ」と勘違いして食べたグループはハットした様子に大笑い。でも美味しかった。

帰路のバスでは直会も無事終わり、無礼講?の時間に。皆さん賑やかに楽しく無事帰ることができました。これも方丈様、奥様、幹事さん方のお気遣いが良かったからと思っています。本当にありがとうございました。

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お盆の迎え方

(い)【家の中の行事】
13日の朝、祖先を迎えるための精霊棚(しょうりょうだな)=盆棚を作ります。台の上に真菰(まこも)のゴザを敷いて、奥中央にご本尊と先祖の位牌を安置します。位牌の前にはナスやキュウリで作った牛や馬を供えます。これは祖先の霊が「キュウリの馬」に乗って早く来てくれるように、名残り惜しいので「ナスの牛」に乗ってゆっくり帰るようにとの願いを込めたものです。
お供え物は、13日はお迎えのあずき団子、14日はご馳走のおはぎ、15日はそうめん、最後に送り団子(白い団子)と毎日変えていきます。
香・花・灯燭・供物は日常のごとくですが、これに「水の子」(ナス・キュウリのサイの目切りと洗米)を供えます。「水の子」は沢山のみ霊に行渡るようにとの願いが込められています。「閼伽(あか)水」は仏前に供える浄水です。毎日取り換えてお供えしましょう。
(ろ)【迎え盆】(お盆の入り)
13日夕方に仏壇や精霊棚の前に灯を灯した盆提灯を置き、庭先や門口に皮をはぎ取った麻幹(おがら)を焚きます。これを迎え火といい、祖先が迷わず来られるように家の場所を伝えます。
一方、お寺では檀家のお墓の前で鈸(ハツ)を鳴らし、無事家に戻られるよう念じてお勤めしています。
このようにお盆は祖先を家に迎え入れることから始まります。迎えられた祖先と家族・親族が14日・15日を水入らずの時を過ごし、先祖と共食して楽しみます。その喜びを表すのが「盆踊り」です。
(は)【送り盆】(お盆明け)
15日か16日の夜に、祖先は再びあの世へ帰って行きます。この時、迎え火と同じ位置に今度は「送り火」を焚き、再び帰り道を照らして祖先を送り出します。
盆はうれしや別れた人も
あえてこの世に会いに来る

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大黒天

梵語でマハー・カーラといい、体の色が黒い事から大黒天といわれる。この大黒天はシヴァ神の別名で戦いの神だったが、これが仏教に取り入れられ、日本では七福神の一神となる。古来インドでは戦闘の神として信仰されていたため、激しい忿怒(ふんぬ)の表情に作られた。密教では悪神を退治するといわれていることから、その姿は三面六臂(三つの顔と六本の腕)で、髪の毛を逆立てた恐ろしい忿怒形に描かれているが、中国に伝わって寺院の守護神、また豊穣を司る神となり、さらに財宝を授ける福神となった。また、経典には二臂の大黒天についても記されている。洞源院の大黒天はこの二臂大黒天です。頭に烏帽子をかぶり、裾が短い袴をはき、袖を絞った上着を着ている。右手に打出の小槌を持ち、左手には大きな袋を持って肩越しに担いでいる。

さらに、日本では「だいこく」という音が、因幡の白兎伝説の主人公の大国主命(おおくにぬしのみこと)と通じることから、混同して信仰されるようになった。今日、七福神の一神として親しまれている柔和な表情をして俵の上に乗る大黒天は大国主命の温厚な人柄のイメージを反映させているものと思われる。

大黒天は平安時代に伝教大師最澄が伝えたとされ、中世以降、大国主命と同一視されるようになり、農耕の神、福徳円満の神として盛んに信仰されるようになった。また、寺の奥さんのことを「大黒さん」というが、これは庶民の間で台所の神として信仰されてきたためです。さらに田の神として信仰している土地もある。



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第二十二回寺子屋寄席

10月11日午後6時半~
洞源院にて落語家 三笑亭 夢花師匠を招いて開催。
主催 ちえぶくろの会
木戸銭1,000円

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日常の仏教語「もったいない」

平成16年にノーベル平和賞を受賞したケニアの環境副大臣、ワンガリ・マータイさんという女性が、国連本部での演説の中で、「もったいない」という言葉の持つ重要性を説き、世界中に資源の有効活用を訴えました。

実は、この「もったいない」という言葉は仏教の「不殺生戒(ふせっしょうかい)」の教えが基になっているのです。

「戒」とは禁止や命令することではなく努力目標という意味で「生き物の命を奪わないように努力します」という誓いです。

自分が生きる為に他の生き物(植物も含めて)の命をいただくのですから当然そこにはいただく物に対して感謝の心と、いただいた命を無駄にしてはならないという気持ちが大切です。

このことは、食べる物ばかりではなく全ての物、資源に当てはまり、有効に活用し子々孫々に残す使命が私たちにはあります。

先ず、身近なところから「もったいない」という言葉を意識して、あらゆる物、限りある資源を粗末にしない努力目標をたて、実行してみませんか。

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本山特派布教

「なむ」17号でお知らせしていました特派布教が7月3日(木)に洞源院を会場に開催されました。

第十三教区(石巻地区29ヶ寺)の各寺院檀家の方々並びに当院の檀信徒の皆様方、合計130名が参集しました。

研修会に先立ち、洞源院住職が導師となり、参加者全員でご本尊様に般若心経をお唱えし、続いてビデオにより曹洞宗江川辰三官長の告諭(おことば)を拝聴しました。

講師は秋田県能代市の梅林寺木村高寛老師がお勤めくださり【布施行】〈分かち合う生き方〉というお題で穏やかな口調で判り易く「向き合う・伝える・支え合う」という慈しみの実践を教えて頂きました。

例えば、夫婦で晩酌を頂く時、片手で盃を出すと向き合っていない。両手で受ければ自然に向き合うことになる。この両手で受ける姿こそ合掌の姿そのものなのだと言われます。そしてこの時、照れずに「ありがとう」と声を出して感謝を伝える。このような何気ないことから相手の思いと自分の思いが一つになり、共に歩いて行く楽しさが深まってくる。という内容でした。 

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活動報告(平成26年5月~7月)

5月9日 護持会役員総会
5月11日 東北大学留学生来院研修
5月18日 花まつり・仏の教えを聞く会
6月1日 石彫会
6月24日 護持会研修旅行山形県慈恩寺参拝
6月25日 曹洞宗全国宗務所々長会洞源院に於いて
6月29日 浜供養
7月3日 本山特派布教 洞源院に於いて
7月5日 東北大学短期留学生来院研修
7月20日 浜供養

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行事予定(平成26年8月~12月)

8月4・5・6日 関東子供豆記者来院研修
8月9日 お盆の清掃奉仕 午前8時~
8月13日~15日 お盆供養
8月17日 山門大施餓鬼会 午前10時半~
8月29日~30日 石巻ひがし保育園々児 洞源院でお泊り保育
9月6日 敬老の集い 午前10時~
9月14日 浜供養 午後1時~
9月23日 永代供養及び愛々動物供養 午後1時半~
10月11日 寺子屋寄席 午後6時半~
12月7日 成道会・仏の教えを聞く会 午後1時半
12月14日 年末清掃奉仕 皆でお寺をきれいにしましょう 午前8時半~
12月31日 除夜の鐘塔婆・お札等のお焚き上げ 午後11時~

行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。
今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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編集後記

今年は雨が少なく暑い日が続いています。気象庁の長期予報は冷夏になると発表していましたが、異常気象なのか例年通りの夏になると訂正されました。

雨が少ない年は、牡蠣の成長が遅れると言われています。浜は新しい水産業をめざして復興途中ですが天候に左右されるので大変です。海水温度も低い状態が続いていましたが、ようやく上がってきてアナゴなどの夏漁が本格的に始まりました。雨が多ければ、震災による地盤沈下のため、各所でポンプ排水をしていますが、冠水などの被害が度々でているので心配です。

洞源院では、東日本大震災以降中断していた護持会研修旅行を再開しました。山形県寒河江市の慈恩寺秘仏御開帳参拝で39名が日帰りの旅に参加しました。バスの中では住職からお伊勢参りなどの話があって楽しい旅でした。 寺報「なむ」の発行にあたり、皆様にはお忙しい中、たくさんの原稿やご意見をいただき誠にありがとうございました。

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おしらせ

「なむ」への情報及び手記等がございましたら広報部(洞源院内)にお寄せ下さい。

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