洞源院寺報なむ

第13号 平成25年1月1日

政治の危うさ信仰の確実さ 住職 小野﨑秀通

東日本大震災以来2年近くになるが、政治がどれほど国民の為、被災者の為に行われたのだろうか? 甚だ疑問なのはわたしだけだろうか。

震災時の初動的な対処のみならず、今日までの政治的対処法に誤りはなかったのか。3年間に3人の首相が替わり、国民と約束を交わしたマニフェストを無視して誰の為の政治というのだろうか。国民を冒涜した傲慢な政治としか言いようがありません。

福島原発の事故は、事故調査委員会の結論が、人災による事故であると結論付けられたにも拘わらず、東京電力も政府も誰一人として責任を取ろうとする人が出てこない。しかも、情報を隠蔽しているとしか思えない報道で、避難指示を誤り、多くの住民が被曝する結果を作ってしまいました。除染をしてその土砂を福島県外に搬出すると言っておきながら、どこへも運ぶことができず、政治手法に行き詰まった政府は、国会を解散して責任を逃れている。

宮城、岩手の沿岸被害者は三分の二以上も元の居住地に戻ることが出来ず、代替地を提供されても、数千万円もの建設費がかかり、危険区域でない地区の再建は移転費用を含めて多くの費用がかかるため、中々進展しないのが実情です。さらには、建設に拘わる資材、人件費が高騰して被災者を二重に苦しめているように思われます。こうした再建する被災地に対し、一部の業界だけが得をするのではなく、それを是正させ安心させてこそ政治の力が発揮されると言えるのではないでしょうか。

洞源院の避難所解散後にも、毎朝数名の人が朝課勤行に参加しています。勤行の前に、ご本尊様はじめ、位牌堂、お預かりしているホトケ様へのお水、お茶をお供えする人、梵鐘を撞く人、殿鐘を鳴らす人、皆それぞれ役割を決めて分担し朝課を勤めています。さらに毎週土曜日には、勤行の後坐禅を組んで行きます。「寒い日も暑い日もあるけれど、朝課勤行をしたあとは、清々しいねェ」と言ってくれます。「心が和む」とも言っております。

平成19年まで大本山永平寺の貫首を勤め亡くなった宮崎奕保禅師は折々に「朝洗面をしたなら、まず仏壇にお水、お茶をお供え、灯明、線香に火をつけ、線香をまっすぐに立て、正座して姿勢を正してください。姿勢をまっすぐにすると、心もまっすぐになります。心がまっすぐになると行いがまっすぐになります。一日の行いが正しく行われます。どうぞ実行してください」と。人間の誠実な生き方は行いに現れて来ます。

信仰のある生き方は揺るぎのない確かな人生を歩むことになります。

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山崩れ補修工事を石巻市長に陳情

洞源院は石巻市指定避難所になっており、東日本大震災で大勢の人が避難してきて5ヶ月にもおよぶ共同生活を行いました。
皆さんもご存じのように、裏山のブルーシートで覆われた所は地割れがひどく、大雨が降れば危険なので皆様に書名をお願いし、小竹浜・佐須浜・祝田各行政区長の連盟で10月18日に嘆願書を提出しました。お陰さまで9300名の書名が集まりました。ご協力誠にありがとうございます。現在は施工業者が工法などの調査中です。

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弁財天(弁才天)

山門右横にお祀りしてある八臂の弁財天は元金華山の僧坊に祀られていたものです。
明治維新、神仏分離令により明治四年まで、廃仏毀釈が起こり、仏教の活動が禁止され、仏閣・仏像が破壊されました。

金華山もそれまでは大金寺という神仏混淆の修験道の道場であり、住職や修行僧もたくさんいました。それまでいた住職や修行僧は還俗し、ある者は神主となり、ある者は別の職に就くこととなりました。当山に祀られている弁財天は、その時に小竹浜に移住した善太郎屋の御先祖が、金華山の僧坊から持ち帰ったご尊像です。

弁財天は大黒天や毘沙門天と同じく、もとはインドの川、サラスバティ川の神格化とも言われています。(因みに、金比羅様はワニの神格化)また、川の流れは音楽に例えられており、国を問わず、巧みな話術のことを流れる水に例えられるところから、言葉や音楽の神とされています。さらに、学問や芸事の神としても信仰されています。

『金光明最勝王経』大弁財天女品には、「我まさにその智慧を具足し、荘厳言説の弁を益すべし」と説かれ、智慧の神ともなっています。他にも水は豊作をもたらすことから、農業の神としても崇められ、豊作は富と結びつき、財運、財宝の神ともなっています。

当山に祀られている八臂の弁財天は龍に乗り、大黒天(商売繁盛・財宝)、毘沙門天(福徳富貴・財運)、吉祥天(福徳・財宝)、茶吉尼天(福徳・豊穣)も四方に祀られており、万能の功徳が得られる御堂となっています。小さな御堂ですが、きっと、あなたの幸せをかなえてくれることでしょう。ご本尊と共に是非お参りください。

このほかにも、琵琶を奏でる二臂の弁財天の姿もあります。
日本での信仰は、奈良時代に始まり、平安時代には、日本三大弁天として琵琶湖竹生島、安芸の厳島、相模の江ノ島がよく知られ、牡鹿の金華山、富士山山頂の弁天を合わせて五弁財天と称せられていました。
渡波から牡鹿半島にかけて弁天島があるのは、その昔分霊遷座した鎮守様です。

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洞源院復旧進捗状況

東日本大震災によるお寺の損傷箇所(建物等)の修理状況
東日本大震災での被害状況を寺報「なむ」十一号でお知らせいたしましたが、地盤沈下部分の修復、床の破損部分の修理、及び屋根の修理は済みました。
また、境内の裏山の崖崩れについては、一万名に近い書名をいただき、市長へ陳情しています。

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住職・寺族講演紹介(8月以降)

出張講演
8月
長崎県皓台寺・仙台市国分尼寺・牧山梅渓寺・矢本願成寺
9月
佐賀県九州管区婦人会・青森県曹洞宗宗務所
10月
山形県新庄中学校
11月
秋田県曹洞宗宗務所・大崎市第九教区護持会
12月
東京都曹洞宗宗務庁全国宗務所所長会
来山団体への講演
8月
静岡県光鏡院他梅花講・石川県県民ボランティア養成
9月
山形県BS「山七の会」群馬県曹洞宗宗務所所長他・東京都曹洞宗宗務庁職員研修・石川県県民ボランティア養成第2班・静岡県増船寺他
10月
山梨県曹洞宗宗務所人権研修会・東京都龍眠庵・神奈川県円空学会・山形県第一宗務所十三教区護持会・新潟県第一宗務所七教区護持会・東京都倫理研究所・福島県会津坂下老人大学・愛媛県今治市消防団・群馬県曹洞宗護持会・福島県天徳寺・多賀城市玉川村
11月
青森県聖福寺・愛媛県今治チームえひめ
12月
米国ロサンゼルス学生

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ロサンゼルスの学生23名が来院

12月20日、ウインタージャパントリップ(団体名)は石巻専修大学大津幸一教授の案内で、東日本大震災の被災地視察、洞源院で住職のお話を聞き、昼食を御馳走になり清掃活動をしていった。

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新庄中学校父母と教死の会教養部主催教育講演会

保護者感想
震災のあった年、何度か折りにふれ、TVや新聞で取り上げられた洞源院住職さんの講演を楽しみにして来ました。わが家の祖父母も大本山永平寺に分骨しており、勝手に身近に感じておりました。震災の日から避難者を受け入れられて、子ども達、大人達とお寺という組織の決めごとを作り、その規則を守り生活をする事で、人にも自分にも優しく、譲り合う気持ちだったり、支え合って生活する大切さだったりとか、日々の生活をとおして体験できた事、痛感しました。ご講演ありがとうございました。
生徒感想
・多くの人のつらい気持ちがある中で、みんなの「支え」が必要だという事が一番心に残りました。(一年女子)
・今日の教育講演会で、久しぶりにあの3月11日のことを思いだしました。わたしは「石巻市がどういった状態だったのか?」などを、ぜんぜんわかりませんでした。そして、今日このお話を聞いて、わたしは、初めて津波で親を亡くした人の苦しみや、家を失くしたときの大変さなどがわかりました。(一年女子)
・洞源院に非難された約400人の人々もつらい思いをしたことだと思います。でも、約束や規則をつくり、みんなで協力し合うことで、震災で悲しい思いをした人も笑顔になれたと聞いて、協力すること、助け合うことの大切さを学びました。(三年男子) この講演を聞いて思ったことは、400人が家族のように生活していて、すごいと思いました。普通だったら、みんなばらばらで過ごす人が多いけど、「八ヵ条」を撞くって、朝に「ラジオ体操」をするなどといった団体行動をしたことによって400人がお寺で暮らせたのだと思いました。(一年女子)
・今日の講演を聞いて、人の温かさを感じました。支え合うと大きな力になり、多くの人が生きる勇気を持てるのだと思いました。(三年女子)
・今回の震災で支援して下さった方々、住職さん、そして自衛隊の皆様はとても素晴らしく他の人の手本になる方々だと思いました。(三年男子)
以上数十名の感想文の中から。

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梅花講

平成24年度梅花流創立60周年記念奉讃大会にあたり、曹洞宗福山諦法管長より小野﨑美紀殿に特別功労賞が授与されました。また、洞源院講にも受賞。

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活動報告(平成24年8月~12月)

8月5日
洞源院叢林舎総会
8月13日~16日
お盆供養
8月17日
恒例山門お施餓鬼会
9月8日
曹洞宗宗務庁職員研修
9月16日
洞源院 敬老の集い
円空学会円空仏五百体奉納
9月22日
秋彼岸行事 十一面観音永代供養・愛々動物供養
10月18日
裏山崩れ補修工事陳情 9300名の書名添える
10月20日
第20回寺子屋寄席
4月~11月11日迄毎月
牡鹿半島巡礼 三十一浜述べ577名参加

今後の行事は年間行事のページをご覧下さい。

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社会福祉法人輝宝福祉会設立

はまなす・渡波の各保育所が被災し、子供達はもとより若い親御さん達も苦境にあることは皆様方も周知の事実です。洞源院では、これからの世代を行く子供達を真心をもって保育し、親御さん達が安心して勤労できる様、保育園を建設することとしました。その概要は次の通りです。

一、社会福祉法人輝宝福祉会設立(平成24年12月認可)
二、平成25年9月石巻保育園として開設 場所 石巻市伊勢町198-2(旧尼寺跡地)

今年3月に着工し、8月に完成予定です。収容園児は、0歳児からで75名です。 良い子を育てる「のの様」教育の保育です。 県・市の補助金により建設しますが、負担が多く、寺だけでは無理があります。皆様方のご支援を切望しております。
詳しくは保育園のページをご覧下さい。

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墓参りの供養花

遠方から墓参りされる方で供養の枯れ花を持ち帰るのが大変なときは、お寺の方に相談してください。墓地の美化にご協力をお願いします。

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編集後記

東日本大震災から二度目の正月を迎えました。これからは寒さも一段と厳しくなってくるので仮設住宅で暮らす方々も、防寒対策はしてあるとはいえ大変だと思います。住宅の復興が遅れているので、早く高台移転の為の工事や、復興住宅が出来るのを願っています。

洞源院では震災で壊れた本堂屋根瓦の修理もようやく済み、修理する所はまだまだありますが、おかげさまで被害の大きかった損傷部分の修理が終わりました。

まだ、震災関連の行事が多く、それでも昨年は震災前から行っていた敬老の集いを開催することが出来ました。
広報部でも、全員が揃うことはありませんでしたが、皆様にご協力をいただき「なむ」十三号の運びとなりました。今年は檀家産の声やご意見などを掲載できたらと思っています。
本年もよろしくお願いいたします。

(後藤和男)

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