洞源院寺報なむ

第9号

東日本大震災と洞源院

住職 小野﨑秀通

大震災お見舞い申し上げます。
死者15642人 行方不明5001人(7月29日現在)、この大震災は1000年に1度と言われ、未曾有の大災害をもたらしました。

洞源院檀信徒からも多くの犠牲者が出てしまい、大変残念ですが、心からご冥福をお祈りいたします。当山では、七日毎に追悼供養を続け、四十九日、百ヶ日の供養には300名以上の方々が参列し、皆様と共に鎮魂を念じてきました。 また、家屋の全半壊、流失した皆様方には、心よりお見舞い申上げます。

洞源院でも諸堂が損失し、裏山の地割れが大きく、改修工事が必要となりました。しかし、何とか避難者の受け入れが出来、多い時には400名近くの方々が避難されました。

津波はあらゆるものを押流し、家屋電柱等が倒壊し、路上に瓦礫の山ができ、道路は寸断され、洞源院周辺は1週間にわたり陸の孤島となりました。寺にあった玄米でおにぎりを作り、朝は玄米粥で自活しました。この窮状を初めに救ってくれたのは、自衛隊と民間の個人、団体の善意の支援物資でした。 食糧のみならず、水、衣類、毛布、医薬品、おむつ等々支援していただいたお陰で、物資も豊富に避難者にゆきわたるようになりました。

更に避難生活が乱れないように共同生活の八カ条を作り、皆で守ることを約束しました。知らない者同士が一つ屋根の下に暮らすには、明るく、仲良く、健康で助け合い、譲り合いながら、暮らして行かなければなりません。その点、寺という道場で暮らすのですから、神仏を敬い、感謝と信心を持つ事を強調させていただきました。

お陰様で皆が進んで協力し、洞源院での避難生活は朝の勤行、ラジオ体操、清掃、朝食、朝会が日課となり、コミュニティの絆が深まっていきました。

全国から支援物資が届けられ、ボランティア、炊出し応援隊、慰問団等沢山の援助を受けてきました。感謝感謝ですが、受けるだけではなく、恩に報いることをしようと、朝の勤行で憶えたお経を唱え、殉難者の冥福を祈ろうと6月11日の命日、バスを貸切り70名の参加者で、日和山、大曲浜、女川町立病院と2市1町をめぐり、追悼供養をさせていただきました。供養の読経が始まると涙粒の雨が降り、終盤は洞源院に戻り、渡波の海岸に向かって最後の読経をすると雲一点もない晴天となって、同行者皆も清々しい気持ちとなり、感応道交の不思議な体験をしました。

洞源院は大震災以来の5ヶ月間、避難者と行動を共にして、葬儀、供養等の檀務を勤めてきましたが、お寺としては大変得難い体験をさせていただいたものと思います。

この震災で、洞源院は避難所のモデルとしてNHKをはじめ、沢山の報道関係者の取材を受け、全国に報道されました。これらは、寺本来の活動を認めて下さった証しであると思います。

更に、この寺が人々の心の拠り所となっていただけるよう、これからも努力して行くつもりです。皆様、今後も、なお一層寺の行事に参加し、ご協力してください。

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お盆はお寺で供養

この震災により、自宅を失い、仮設住宅、アパート等へ移住し、不自由な生活をしている檀信徒の皆様が多くおられます。そのため、本年はお盆棚経に変え、お寺にて左記時間の通り、お盆供養を勤めさせていただきます。

日程 8月13日~16日(受付は各時間30分前)

13日~14日【土・日】
午前9時、10時、11時
午後2時、3時、4時
15日~16日【月・火】
午前6時、7時、8時
午後5時、6時、7時

15日~16日はお勤めの方の為、早朝、夕刻を設定しました。供養する戒名を別紙に記入してお申込み下さい。

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山門大施餓鬼会ご案内

東日本大震災殉難者精霊、戦死者、海上・交通事故死者諸精霊等の鎮魂慰霊の功徳を頂き、各家先祖精霊に功徳を巡らす供養が、施餓鬼会供養です。お盆供養とは別にお参り下さい。

日時 8月17日 10時30分より
語りべ 多勢久美子氏
法要 大施餓鬼会法要 12時30分

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九五〇年記念行事概要

源義家公が山居に開いたとされる洞源院の開創950年を記念し、報恩行事がいよいよ実施される運びとなりました。偏に檀信徒各位のご理解とご支援の賜と心から感謝申し上げます。
今号では、記念行事の概要を説明させていただき、行事日には、皆様のご出席をお待ちしております。

17日(土)十時から洞源院にて

歴代様、先住秀丸和尚様(3月14日十七回忌)への報恩法要が行われ、厳かに記念行事が始まります。 これまで計り知れない苦難を乗り越え、今日に引き継いでくださった歴代様への感謝の法要です。 現在の秀通住職は曹洞宗になってから30代目に当たります。

この法要には、洞源院に所縁のある各寺院から多くの僧侶が随喜なされます。
引き続き、誓願会が行われます。これは、当院御本尊・聖観世音菩薩様とご法縁を結んでいただき、未来永劫の繁栄と併せて東日本大震災で犠牲になられた方々をはじめ、檀信徒各家のご先祖様方の慰霊法要、ならびに震災からの一日も早い復興を祈願いたします。

洞源院の御本尊様

御本尊様となっている聖観世音菩薩様は、義家公の守り本尊を祀ったのが始まりとされ、現在、洞源院に鎮座されている御本尊様は、鎌倉時代初期に京都で制作されたと伝えられています。この御本尊様は、東日本大震災の時にも倒れることなく慈眼静かに見守っておられました。誓願会では御本尊様とのご法縁を結んでいただきましょう。

昼食後と翌日の行事

昼食後は午後1時より、曹洞宗大本山永平寺布教部長の西田正法老師から有難いご法話を拝聴いたします。
午後3時、洞源院住職の法話とピアニスト稲垣氏の奏でるピアノとのコラボレーションで初日の記念行事を締めくくります。

翌18日(日)は、初日と同じく10時から大震災での犠牲者の慰霊法要と誓願会を執り行います。
11時からは、曹洞宗大本山永平寺の西田老師のご法話です。

お昼は、法要を務めて下さった随喜僧の方々が典座(てんぞ《修行僧の食事や仏様への供膳を司る役務》)となって調理した物を召し上がっていただきます。

午後1時からは、テレビでおなじみのさとう宗幸さんの弾き語りを企画しました。お楽しみに…

開創950年にあたり

洞源院開創950年記念行事は、当初、3日間で執り行う予定でしたが、この度の未曾有の東日本大震災に遭い、縮小の形となりました。

犠牲になられた方々の慰霊と残された方々の復興を祈願し、更には檀信徒各位のご先祖様方のご供養を皆様とともに行いたいと思います。

お釈迦様は「人の世は縁による」と教え、一人で生きられる人はいません。互いに助け合い、支え合って生きています。 記念行事に参加することは、今を生きてゆく自分を再認識する機会になることでしょう。 950年の歴史を皆様も体感してください。ご参加を切にお待ちしております。

開創950年記念行事

9月17日【土曜日】
午前10時~ 開山・歴代住職報恩法要(先住秀丸和尚十七回忌)
午前11時~ 誓願会・東日本大震災慰霊・復興祈願
午後12時~ 昼食(カレーライス)
午後1時~ 法話 永平寺布教部長西田老師
午後3時~ ピアノと法話
稲垣達也さんのピアノと住職による法話のコラボ
9月18日【日曜日】
午前10時~ 誓願会・東日本大震災慰霊・復興祈願
午前11時~ 法話 永平寺布教部長西田老師
午後12時~ 昼食(冷やしそうめん)
午後1時~ 弾き語り さとう宗幸さん

※2日間バスによる送迎を予定しております。(ご希望があれば昼食後にお送り致します。)

講師陣紹介
西田正法老師 永平寺講師、関東管区教化センター主監を歴任し、現在永平寺布教部長、栃木県足利市明林寺住職を務められています。
稲垣達也さん 稲垣達也さんは「仙台ジャズフェスタ」「とっておきの音楽祭SENDAI」の実行委員長や、テレビ番組のテーマ曲などの作曲、演奏を手掛けておられます。またフランス、イギリスで公演も行い、幅広く音楽活動をされています。
さとう宗幸さん 学生時代から歌声喫茶でギター片手に歌い、セミプロのフォークソング歌手であったさとう宗幸さんは、「FM仙台リクエストアワー」でDJを務め、この番組にリスナーから寄せられた詩に曲をつけて生まれたのが『青葉城恋唄』です。
この歌は仙台市の後押しもあり全国的に大ヒットしました。同年、数々の音楽新人賞を獲得し、仙台を代表する曲のひとつになりました。
ミヤギテレビのOH!バンデスの司会でおなじみのさとう宗幸さんは、「青葉城恋唄」のヒットをきっかけに全国区の人気者となり、ドラマにも出演するようになりました。 代表的な歌には「青葉城恋唄 」「岩尾別旅情」などがあります。

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活動報告(1月~7月)

1月18日 大般若祈祷会
2月13日洞源院
3月4日飛翔閣
祈祷会・ アサダ二世講演 ・おねはん会・仏の教えを聞く会
3月5日 山居報恩巡礼
3月11日
午後2時46分
東日本大震災 巨大地震発生・大津波襲来
東日本沿岸部大損壊
4月11日 洞源院避難所開設・月命日供養(大震災)
4月25日 避難者お花見会・フジテレビめざましテレビ収録
5月1日 NHK鶴瓶の家族に乾杯収録
笑福亭鶴瓶師匠及びさだまさし氏来院
5月3日 石彫会(第7回)
5月8日 花まつりコンサート 「全国青少年教化協議会」
5月12日 福山諦法禅師猊下御来山
永平寺福山諦法禅師及び監院大田大穣老師が来山
5月30日 ミヤテレOH!バンデス収録
6月7日 やなせなな慰問コンサート
6月11日 月命日供養(大震災) 2市1町巡礼追悼供養
6月15日 イケメン'ズ慰問コンサート・桂歌助師匠慰問寄席
6月18日 キャノン・チャド バイオリン独演会
6月21日 南こうせつ&EPO慰問コンサート
6月28日 東日本大震災慰霊復興祈願祭 (国際宗教同志会)
7月11日 月命日供養(大震災)
多勢久美子さんの昔ばなし
7月16日 稲垣達也被災地応援 樹の音コンサート

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今後の行事予定(8月~12月)

8月13~16日 お盆供養「お寺で供養」
8月17日
午前10時半~
大施餓鬼会(大施食会)
9月17~18日 開創九五〇年記念行事
9月25日 秋彼岸
10月16日
午後2時~
十一面観音永代供養(1時半~)
愛々動物供養(2時~)
第19回ちえぶくろ寺子屋寄席
10月30日
午前9時~
石彫会(第8回)
11月27日
午後2時~
ちえぶくろ会たくあん漬け講習
12月4日
午後2時~
仏の教えを聞く会・成道会
12月31日
午後11時~
除夜の鐘
塔婆・お札等のお焚き上げ供養

※行事予定の日時は都合により変更の場合もあります。

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編集後記

東日本大震災でお寺が避難所となり、また広報部のほとんどの人が被災し、寺報「なむ」を休んでいましたが、皆様の協力で再発行することができました。
今回、第9号の題字は熊谷悦子さんの筆書きを採用させていただきました。

(後藤和男)

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